「このまま死ぬんじゃ」睡眠時間1時間の時も…鷹・周東、苦しみの末に掴んだ盗塁王
9月12日の西武戦で2失策して涙、寝られず「このまま死ぬんじゃないか…」
ただ、徐々に盗塁数を増やし「1位と7個差くらいになったくらいに、この残り試合数ならいける」と思い始めたという。そこから盗塁を量産し、10月16日からはプロ野球記録となる13試合連続盗塁。トップに立ち、2位以下を突き放して、タイトルを手にした。
この1年を「正直キツかったです。体のキツイのもありますけど、気持ちが疲れました。どんどん気持ちが疲れていくなと感じていました」。レギュラーとして試合に出続ける大変さを身をもって痛感した。
9月12日の西武戦では2つの失策を犯してベンチで涙を流した。悔しさから、その日はほとんど寝られなかった。「このまま死ぬんじゃないか」と思うほど追い詰められた。翌日はデーゲーム。「球場に行かなくていいなら、行きたくないと思っていた」。睡眠時間わずか1時間ほどで翌日の試合に臨んでいた。
「今はもうあまり考えすぎないようにしています。寝られない時もあったけど、寝られないなら寝られないでいいや、と。帰ったら切り替えられるようになりました」。精神面でも一皮剥けた。かかるプレッシャーに立ち向かい、そして、目指したタイトルを手にした。
「一生懸命やってきてよかったです」と、試合後にはホッとしたような笑顔を見せた周東。苦しみ抜いた末に掴んだ栄光。あの日の涙は決して無駄ではなかった。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)