大学生に転身した元ロッテ右腕が語る戦力外通告の現実 「マイナスばかりではない」

その後の人生の方がプロ野球選手になることよりも難しいかもしれない

 これまで野球を生き甲斐にしてきた人にとっては、現役を退くことに大きな喪失感を抱くことがあるかもしれません。もちろん、私も全くないといったら嘘になりますが、野球を手放してでもやりたいことを見つけられたことで、戦力外通告をプラスへ転換することが出来ています。自分に野球以外の何ができるのか、全くの未知数ですが、そこには可能性が溢れていることも確かで、新しい自分を発見するたびに新鮮な感覚を覚えます。

 好きで始め、続けてきた野球を職業まで昇華させてきた能力は、そうではない人よりも特別なものを持っていることは確かで、これまで注いできた情熱を少し工夫するだけで、同様に他の分野でも生かせると思っています。そういったポジティブな面もあることを知っておけば、未来も明るく見えてくるのではないでしょうか。

 どんなに長く現役生活を続けても、その後の人生の方が長く、また充実させることは、もしかするとプロ野球選手になることよりも難しいかもしれません。しかし、限られた人しかなることのできないキャリアを経験してきたことは、この先の人生においても大きなアドバンテージであることは間違いありません。

 一方で、元プロ野球選手という肩書きは、時に有利に働くこともあればその逆も然り、諸刃の剣のような二面性がありますが、一つでも多く有利に働くように、そして実りある人生を送れるよう願っています。またファンの皆様には、暗く悲しいだけではないこと頭の片隅に留めて頂きつつ、第二の人生を歩む選手に対して、明るく背中を叩くように送り出していただけたらと思います。心晴れやかに――。

(島孝明 / Takaaki Shima)

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