“二刀流”の23歳がハム王柏融超え新人王 最速開幕の台湾プロ野球はどうだった?

シリーズMVPに輝いた統一・潘武雄【写真提供:中華職業棒球大連盟CPBL】
シリーズMVPに輝いた統一・潘武雄【写真提供:中華職業棒球大連盟CPBL】

今季最多15600人、ビジター応援も解禁され「ほぼ通常通り」のシリーズに

 今シリーズは、今季初めてビジター応援団の入場も解禁。入場者の上限も収容人数の78%に引き上げられた中、週末開催となった台中インターコンチネンタル球場の4試合は全試合15600人の大入りとなった。平日開催の台南球場も3試合中2試合で「満員」となるなど、多くのファンが球場につめかけた。チケットの実名制、入場時及び着席時以外のマスク着用など感染予防対策は義務付けられていたが、スタンドのファンは応援歌やチャンステーマを熱唱。限りなく通常の台湾シリーズに近い盛り上がりとなった。

 蔡英文総統は自身のフェイスブックに「今年の台湾プロ野球は、プロ野球リーグとして世界で最初に開幕し、全世界の野球ファンを奮い立たせました。7か月のシーズンを経て、さらに台湾シリーズ7試合を戦いきり、今夜、2020年のチャンピオンが誕生しました。統一ライオンズおめでとう。総統府で会いましょう」という祝賀メッセージを投稿。同時に「兄弟ファンもがっかりしないでね」というタグをつけ、中信兄弟のファンを慰めた。

 続いては、今季のレギュラーシーズンを振り返っていこう。富邦が、ラミゴから歴代最多勝監督・洪一中監督を迎え、他の3チームも新監督が就任と、全チーム新たな指揮官が就任し迎えた今シーズンは、終盤まで全チームにポストシーズン進出の可能性が残る激戦となった。

 台湾プロ野球のレギュラーシーズンは前後期60試合ずつ、年間120試合行われる。新型コロナウイルス感染拡大の影響による2度の延期、開幕戦の雨天中止もあり、4月12日に「開幕」した前期シーズンは、リーグ3連覇のラミゴモンキーズを引き継いだ楽天モンキーズと中信兄弟の優勝争いとなった。楽天が強力打線でロケットスタートを切った一方、中信兄弟は出遅れ、一時は7ゲーム差をつけられた。しかし、その後、楽天が失速する中、中信兄弟は3人の外国人投手、黄恩賜ら強力な先発陣から、安定感のある救援陣につなぐ「勝利の方程式」を確立。野手陣も、新任の丘昌栄監督が、新人や昨季は2軍でくすぶっていた選手を抜擢するなど、競争激化でチームの底上げに成功。特に6月以降は、勝率7割を超える快進撃をみせて逆転で前期シーズンを制した。

 前期シーズンの「打高投低」に対する議論もあり、後期シーズンから、より反発係数が抑えられた新公式球に変更された。結果、投手戦も増えた後期は混戦となった。前期を制した中信に加え、前期は下位に沈んだ統一、富邦の3チームが終盤まで優勝争いを繰り広げた。楽天は、後期の優勝争いからは脱落したものの、年間順位2位の座をキープ。仮に中信が後期シーズンも制した場合には、年間勝率3位チームとシリーズ進出をかけ戦うプレーオフに進めるという「他力本願」の展開となった。

 後期シーズン残り3試合を残し、3チームがゲーム差なしで並び、1ゲームプレーオフ実施の可能性もあった歴史的なデッドヒートは、統一が残り2試合で富邦、中信に連勝し、7年ぶりの半期優勝を決めた。富邦は、勝てば優勝というチーム最終戦で統一に敗れ、楽天は、中信が統一に敗れたことにより、リーグ4連覇への挑戦権を失った。

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