打率1割台でも信念貫き「良かった」 レイズ筒香が激白、1年目の苦闘と収穫
独占インタビューで明かす、新天地での苦悩と手応え
レイズ筒香嘉智のメジャー初シーズンが終わった。チームはリーグ最高勝率でポストシーズンに進み、7年ぶりにワールドシリーズへ出場。世界一こそ逃したが、ドジャースと第6戦までもつれる熱戦を展開した。
メジャー移籍1年目で貴重な経験を積んだ筒香だが、打率はプロ1年目の2010年以来となる1割台を記録。個人的に満足のいくシーズンではなかったことは容易に想像できる。「結果から逃げるつもりはない」という28歳は同時に、今シーズンを「僕にとって大事な1年になるのかなと思います」と振り返る。
NPBからメジャーへ羽ばたいた大砲は、異国の地で何を感じ、何を得たのか。「Full-Count」の独占インタビューに応じた筒香がメジャー1年目を振り返り、飾らぬ率直な想いを語ってくれた。まずは前編では、今季のパフォーマンスと向き合う。
◇ ◇ ◇
「率なんか、全然話にならないと思います」
51試合に出場し、打率.197、8本塁打、24打点、26四球、50三振、出塁率.314、長打率.395。自身のメジャー1年目の成績を、筒香はバッサリと斬り捨てた。
「プロなので、自分が出した数字の責任を取るのは当たり前」
もちろん、DeNA入団1年目以来となる打率1割台という結果から、逃げるつもりは全くない。
傍から見れば、失意のメジャー1年目だったかもしれない。だが、筒香が今季残した結果から目を逸らさず、正面から向き合えているのは、この数字に至った理由が見えているからだ。その背景には、筒香が持つ“もう1つの逃げない姿勢”がある。
「どうしても勝負事なので結果が欲しくなったり、数字を追いかけたくなってしまう。本当は打点やホームラン数など動かない数字を追いかけるのがいいんでしょうけど、やっぱり打率は選手の心の安定に繋がる要素。ただ、今年に限って言えば、僕はその場しのぎの結果を出しにいくことを選んで小手先の調整に逃げず、自分のスタイルで入り込んでいけたというのは良かったんじゃないかと思います」
古巣DeNAでは“ハマの大砲”と呼ばれ、侍ジャパンでも主軸を任された男でも、初めて経験するメジャーの世界。さらに、新型コロナウイルスの影響により、レギュラーシーズンが60試合という異例の短さ。例年よりも一層限られた時間の中で「何が通用するのか、しないのか」を見極めるには、ブレることのない基準が必要だ。筒香にとって、それが「自分の間合いと打ち方」を崩さないことだった。
自分のスタイルを貫いた結果、成績は伸び悩んだが「苦しいことは分かっている中で、自分の形で入り込んで行けた。当時は苦しかったですけど、シーズンが終わった時に足りなかったことが見つかったり、学びが得られたりしたんだと思います」と手応えを口にする。