打率1割台でも信念貫き「良かった」 レイズ筒香が激白、1年目の苦闘と収穫

95マイルの壁はあったのか…「自分の間合い、打ち方ができればヒットは出る」

 周囲からは「筒香は95マイル(約153キロ)以上の球に対応できていない」という声も上がった。それは本人の耳にも届いている。メジャーの投手陣について「もちろん、全体的にスピードが速くて、変化球もハードな曲がりが多いのも事実としてある」と違いを認める一方で、「自分の間合い、打ち方ができれば、91マイル(約146キロ)だろうが、98マイル(約158キロ)だろうがヒットは出ています」とも感じている。

「例えば、プラスチック製のバットを持って、柔らかいビニルボールで遊んでいる時は、どんな近くから投げられても“力む”ことはないですよね。でも、試合の中で硬球を打つとなれば、いろいろな“力み”が出て本来見えるはずのものが見えなくなる。打つボールが速ければ速いほど、体のいろいろな部分に無意識のうちに力が入って反応してしまう中で、どれだけ自分のスイングで打てるか。96マイル(約154キロ)でも自分の間合いで無駄なくスイングできている時って96マイルに感じないんです。自分の間合いではなかったり、どこか力んでいると、2マイル(約3キロ)の差でもすごく大きく感じてしまう。数字として出ている結果とは、まったく違うもの、違う感覚、違う手応えが自分の中にはありますね」

 昨オフの入団会見でケビン・キャッシュ監督は筒香に打線の中軸を担うことを期待したが、お世辞にも期待通りとはいかなかった。それでも、自分を見失わずにシーズンを終えられたのは、チーム状況のおかげもある。“全員野球”を掲げるレイズは、日替わりヒーローを生みながら激戦区のア・リーグ東地区を制し、ワールドシリーズでも気を吐いた。球団初のワールドシリーズ優勝には届かなかったが、上々の2020年シーズンだったと言えるだろう。

 筒香はポストシーズンが進むに連れて出場機会が減りながらも、頂上決戦の舞台を味わうことができた。当然、野球選手として悔しさを感じてはいるが、今はそれ以上に1日でも長く野球ができたことに感謝する。

「試合に出られなくて悔しいのは、もちろん選手でいる以上感じること。でも、そこに対する苛立ちはなかったですね。試合は出られなくても自分が吸収できることはいろいろあったし、ポストシーズンでも出場機会が多かったわけではなくても、あの時期まで野球がやれたからこそ感じられたことが多々ありました。チームメートに恵まれて、あの舞台まで行けましたけど、すごく大きなことでした」

逆方向へのアーチで一定評価も「完璧なホームランは1本もなかったです」

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