「レイズはベイスターズより細かい野球」 筒香嘉智が語る渡米1年目のリアル

ワールドシリーズで感じたファンの声援が持つ力「体の中から感じるものが違いました」

 異例続きのメジャー1年目となったが、ワールドシリーズを終えた今、改めて感じているのが「ファンの声援が持つ力」だ。ア・リーグではレギュラーシーズンからリーグ優勝決定シリーズまで全試合が無観客で行われた。ワールドシリーズでは感染対策を考慮しながら1万人を超える観客を動員。久しぶりの声援に「いいな」と感じたという。

「もちろん、ワールドシリーズっていう特別な舞台だったこともあると思いますが、やっぱりファンの方がいて、生の声援があると、野球選手として体の中から感じるものが違いましたね。無観客の時はあまりそこに意識がいくことはなかったんですけど、ワールドシリーズではそう感じました。やっぱり声援やエールが力になるんだなって」

 渡航制限がかかり、日本のファンはテレビを通じてしか応援することはできなかったが、その声はしっかり筒香の元に届いている。ただ、近しい人たちからは、こんな声も届いた。

「ここ数年では、こんなに打率が低いシーズン(.197)はなかったので、みんな気を遣って連絡できなかったみたいです(苦笑)。シーズンが終わってから、たくさん連絡が来ました」

 野球を筆頭に、ありとあらゆる場面で新たな気付きや発見を得られた2020年。「今年起きたことを全部話したら何時間かかるんだろうって思うくらい、いろいろなことが起きましたけど、間違いなく僕の価値観は変わったと思います」と続ける。

「周りは結果で判断しますから、ダメだったと言われるかもしれないけれど、僕の中では野球でも生活でも本当にいろいろ新しいものを感じ取れた1年でした。言い訳みたいに聞こえるのは嫌なので、本当は来年が終わるまであまり話したくないんですけど。来年に向けて、すぐにでも動き出したいくらいです」

 ワールドシリーズ終了から程なくして帰国の途についた筒香だが、1つだけ心残りがあるという。

「シーズンが終わってから記者の方々に御礼を言うタイミングがなかったので、それがちょっと申し訳ない気がしているんです」

 筒香の中で変わった価値観もあるが、変わらなかった価値観もまた、あるようだ。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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