ホークス中村晃は「本当に頼りになる男」 元鷹コーチも称賛する打撃技術と選球術
ソフトバンクで5年間コーチを務めた飯田哲也氏が先制2ラン&適時打の中村晃を解説した
■ソフトバンク 4-0 巨人(日本シリーズ・24日・PayPayドーム)
24日にPayPayドームで行われた「SMBC日本シリーズ2020」第3戦は、ソフトバンクが4-0で巨人を下し3連勝。4年連続日本一へ王手をかけた。「2番・一塁」で出場した中村晃外野手が3回に右翼席へ先制2ラン、7回にも右前適時打を放って3点目をもぎ取り、無類の勝負強さを発揮した。かつてヤクルトで名外野手として鳴らし、昨年までソフトバンクで5年間コーチを務めた飯田哲也氏が、中村晃の驚くべき技術を解説する。
プロ13年目の31歳は、ここぞの場面で強い。中村晃は今月15日に行われたロッテとの「パーソル クライマックスシリーズ パ」第2戦でも、3点ビハインドの2回に2ランを放って1点差に迫り、4回には2打席連発の逆転2ランを右翼席に運んで、CSのMVPに輝いたばかりだ。
飯田氏は「みんなが『ここで打ってほしい』と願っている場面で打つ。本当に頼りになる男。その勝負強さを支えているのは、プロ野球界でもトップレベルの技術の高さと、読みの確かさです」と言う。
先制2ランは3回2死二塁で、好投していた相手先発のサンチェスから放った。カウント2-2からの5球目、真ん中に浮いたスプリットをとらえた。飯田氏は「サンチェスは常時150キロを超えるストレートが走っていた。普通の打者なら、速球に対応するのが精いっぱいです。しかし中村はそんな中で、ポンと浮いてきたスプリットを完璧に捉えた。プロでもなかなか出来ない芸当です」と感嘆した。
7回1死一、二塁では、2番手として登板した変則左腕の高梨から、左対左の不利をものともせず右前適時打。カウント2-2から、5球目にして初めて来た高梨得意のスライダーを一振りで仕留めた。「4球目まではストレートにタイミングが合っていなかったので、スライダーを待っていたのだと思う。読み勝ちですね」と飯田氏は指摘した。
一方、第1、2戦で通算8打数7安打1本塁打4打点と爆発した栗原は、この日は無安打に終わった。それでも役者がそろい、得点パターンがいくらでもあるのがソフトバンクの強み。とりわけ、中村晃のいぶし銀の働きは味わい深い。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)