“セオリー通りの配球”で痛恨被弾した巨人バッテリー 元捕手が読む中村晃の心理
7回の適時打は直前の打者・周東に死球を与えたことも影響か
7回の勝負も中村晃に軍配が上がった。左のリリーフ高梨が周東を死球で歩かせ、1死一、二塁となった場面。高梨は左打者の中村晃に対し、4球続けて外角に直球を投げ、カウントを2-2とした。そして5球目、外角に投げたスライダーがやや甘く入ったところを右前に運ばれ、3点目を失った。この打席で野口氏が注目したのは、2ボール1ストライクからの4球目の球を中村晃が遅れてスイングしたことだった。「高梨の4球目の直球に対し、中村晃は変なタイミングで打ちにいって、ストライクだったのでそのまま止めずに流して振った。あのスイングは変化球待ちのスイングだった。あのタイプの投手に対して、追い込まれてから配球を100%絞ってタイミングを合わせることはできない。だが、変化球もマークしながら直球寄りのタイミングで待っていれば、変化球が甘く入ってくれば対応できる」
そして鍵になったのは、高梨が前の打者、同じ左の周東にツーシームで死球を当てていたことだという。
「高梨は周東に死球を当てているので、捕手の大城が内角を要求しても(立て続けの死球を恐れて)甘く入る可能性がある。チームとしても、2人続けて死球で走者を出したらピンチになるから、左に対して内角に投げさせようとはならない。となると、来るのは外角の直球かスライダー。そういう配球を中村晃も読んでいて、内角には来ないと予想していたはずです」