楽天、全選手に経営実態を異例の開示 コロナ禍で打撃「危機感を共有したい」

厳戒態勢で選手やスタッフらチーム関係者の感染者をゼロに

 この日は則本昂をはじめ9選手が契約を更改。「どの選手も観客の減り方を数字で見ると、改めて感じるところあるようだ」と安部井本部長は見た。

 特に則本昂には、試合が開催できなくなった場合のファンサービスなどでアイデアがあるようで、安部井本部長は「詳細を話せる段階ではないが、球団、スポンサー、ファンの皆さんの力になれるようにと、いろいろ考えてくれている」とほのめかした。

 楽天は今季、感染予防のために最大限の厳戒態勢を敷いた。3月30日にチーム活動を停止し、5月8日の練習再開まで球団施設の利用を禁止。他球団では、消毒を徹底した上で、施設の利用は制限しなかった所もあり、球界全体から「NPBが一律の基準を設けないと、不公平になる」と不満の声が上がったほどだった。

 その甲斐あって、楽天は選手やスタッフらチーム関係者の感染者をゼロに抑え込んだ。安部井本部長は「選手が頑張って感染を予防してくれたので、まず第一に(球団経営の話より先に)感謝の気持ちを伝えさせてもらった」と明かした。

 ただし、則本昂が「施設を使えない時期が続いたので、春季キャンプから積み上げてきたものが消えてしまった部分があり、うまく自分本来のパフォーマンスを出せなかった」と語った現実も各選手にあった。下馬評で優勝候補に挙げられていたチームは、Bクラスの4位に沈んだ。

 勝負師である以上、チームや個人の成績を上げることはもちろん大事だが、それだけでは済まない異常事態。楽天は球団が選手と手を携えて難局を乗り切きろうとしている。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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