正捕手の安定がチームの安定? 鷹以外は固まらなかったパ球団の捕手事情

ソフトバンクの捕手成績【表:PLM】
ソフトバンクの捕手成績【表:PLM】

パ6球団で正捕手としてシーズンを通して活躍したのはソフトバンクの甲斐

・ソフトバンク

 2017年以降、正捕手の座に君臨する甲斐拓也が今季も扇の要として投手陣を支えた。打撃面では137試合で打率.260を記録した昨季に比べれば、やや数字を落としたが、本塁打数は昨季と同じ11本。むろん強肩やインサイドワークといった守備面での安定感は相変わらずで、3年ぶりとなるリーグ王座奪還に大きく貢献した。

 その甲斐に次ぐ第2捕手として長年堅実な働きを見せている高谷裕亮は今季も自らの役割を全う。和田毅投手の登板試合では先発マスクを任され、ベテランバッテリーとしてたびたび左腕の好投を引き出した。シーズン終盤に膝の怪我で戦列を離れたものの、縁の下の力持ちとしてチームのV奪回に寄与している。

 また、本来捕手を本職としていた栗原陵矢も、開幕前から出色のバッティングを見せて1軍に定着。捕手としての出場は3試合だったが、一塁手や外野手としてレギュラーの座をつかんだ。若手の九鬼隆平と海野隆司もそれぞれ5試合に出場しており、来季は出場機会増加を果たせるか注目だ。

 以上のように、ソフトバンクを除く5球団では、昨季と異なる様相の正捕手争いが巻き起こっていた。とりわけ、前年までの主力捕手が調子を落とすケースが目立ったが、選手層の拡充という観点では収穫のあったシーズンだった、という見方もできるか。。

 森が不振に陥った西武が終盤まで苦しい戦いを強いられたこと、捕手陣が盤石だったソフトバンクが最終的にリーグ優勝に輝いたことを考えると、やはり主力捕手の安定はチームの安定に繋がる。来季は、ここで出場機会を増やした捕手たちのさらなる台頭は見られるか。あるいは苦しんだ選手たちが、本来の実力を取り戻すか。今後も繰り広げられる正捕手争いに、ぜひ注目してみてほしい。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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