父は元ダイエー&ヤクルト外野手 ホンダが佐藤の決勝満塁弾で決勝進出

満塁本塁打を放ったホンダ・佐藤竜彦【写真:鳥越涼芳】
満塁本塁打を放ったホンダ・佐藤竜彦【写真:鳥越涼芳】

「高い放物線でなく、ライナー性が自分本来の打球」

 2日に東京ドームで行われた第91回都市対抗野球大会の準決勝第1試合は、ホンダが延長タイブレークの末に6-2でセガサミーを下して、3日の決勝に駒を進めた。延長10回、2死満塁から4番の佐藤竜彦外野手がバックスクリーンへ決勝の満塁弾を放って接戦に終止符を打った。

 ホンダは1点ビハインドの9回1死満塁で、新人の千野が左犠飛を放ち、土壇場で同点に追いついた。今大会の規定で1死満塁(選択打順制)からスタートしたタイブレーク制での延長10回。先頭で打席に入った3番・井上は一邪飛に倒れたが、続く佐藤がカウント2-1から、相手の3番手・陶久が投じた真ん中付近の141キロ速球を見事にとらえた。

「8回のチャンスで打てず、相手に流れを渡してしまって、悔しかった。今度こそはと思っていました」と佐藤はしてやったり。1点を追う8回2死一、二塁でも打席に入ったが、同じ陶久のカットボールに空振り三振に倒れていた。

 父は、かつてダイエー(現ソフトバンク)、ヤクルトで外野手として活躍し、来季からヤクルトの2軍外野守備走塁コーチに就任することが決まった佐藤真一氏。「野球を直接教えてもらったことはありませんが、(相手投手の配球の)読みとか、割り切りとかを、背中を見て学びました」と言い、この日も「内野席に似たフォルムが見えたので、父かなと思いました」と笑った。

 24日の1回戦・大阪ガス戦で、左翼席上段へ3ランを放ったのに続く一発。立教大4年時の東京六大学秋季リーグの法大戦では、8回に逆転満塁弾を放って勝ち点をもぎ取ったこともある。「チャンスでは、打ってやろうという気持ちになれます。精神的に追い込まれることはありません」と言い切るほど好機に強い。

 チームは開田成幸監督の「タイブレークは、あらかじめ経験しておくことが大事。本選でいきなり打席に立って結果を出すのは難しい」という考えから、11月のオープン戦でもあえてタイブレークを行ってきた。だが、佐藤は「実は、僕がタイブレークで打席に立つのは今年初めて」。度胸満点の男に重圧は無縁だったようだ。

「まっすぐにも、変化球にも、常にフルスイング」がモットーの、26歳の右のスラッガー。「強いスイングができていれば、詰まったとしても内野の頭を越してヒットになる確率が高いので」という考えからだ。本塁打にも「自分の本塁打が高い放物線を描くことはない。ヒットの延長というか、ライナー性の打球が自分本来の当たりです」とこだわりを持っている。

 予選では当たりが出ず主に8番を打ったが、本選ではここまで全4試合4番。日々主砲らしさを増す佐藤が、ホンダを11年ぶり3度目の優勝に導くか。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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