戦力外で引退決断「不安ある」…元燕・上田剛史氏がトライアウト当日に向った場所
「つよし」と「たつよし」…変わらぬ2人の友情
一方、増渕氏は1巡目で埼玉・鷲宮高から入団。最速153キロの速球を武器に、1年目に1軍でプロ初勝利を挙げた。4年目の10年には中継ぎで自己最多の57試合に登板し防御率2.69をマークするなど活躍したが、故障などで伸び悩んだ。14年の開幕直前にトレードで日本ハムに移籍し、15年限りで9年間のプロ生活に終止符を打った。17年4月に塾長に就任し、現在100人超の小、中学生を指導している。
2人はメジャーで活躍する田中将大、前田健太、ソフトバンク・柳田悠岐、巨人・坂本勇人、今年の沢村賞に輝いた中日・大野雄大、日本ハム・斎藤佑樹らと同じ、1988年度生まれの黄金世代でもある。
「つよし」、「たつよし」と1文字違いの名前で呼び合う2人。この日は上田氏が6日に開設したばかりのYouTubeチャンネルの撮影で、お互いにヤクルトのユニホームを着用し、投手と打者を交代で1度ずつ務める“直接対決”を行った。さらに「つよし、足が速くなる方法って、ある?」という増渕氏のリクエストに応じ、上田氏が塾生たちに臨時アドバイスを送る一幕もあった。
上田氏が「たつよしはプロ生活で最初の仲間。僕は1年目から1軍で活躍した彼の背中を追いかけたので、よきライバルでもあります」と言えば、増渕氏は「つよしが引退するのは寂しいですが……本人が決めたことですし、付き合いはこれからも変わりません」としみじみ語った。一緒にプロの門をたたいた2人の友情は永遠に続く。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)