「このチームは同好会、全部入れ替える」 弱小ホークスを変えた“球界の寝業師”
根本監督からは「全部、引き継げると思ったら大きな間違いだぞ」
Bクラスが続く中、1993年には“球界の寝業師”として辣腕を振るっていた根本陸夫氏を監督として招聘。現場、フロントと全権を託し改革も行った。中内オーナーは根本氏に「こいつ(瀬戸山氏)を鍛えてやってほしい。野球界の人脈、どうしたら強くなるか教えてやってほしい」と伝えたようだが、その後に根本氏と2人で会った際には「全部、引き継げると思ったら大きな間違いだぞ。もし、助けてほしいことがあったらお前から言ってこい」と厳しい指導を受けた。
様々な改革を行った根本氏だが「このチームは同好会だ。全部入れ替える、オールメンバーチェンジだ」と、“血の入れ替え”を決行。西武から秋山幸二外野手、渡辺智男投手、内山智之投手をトレードで獲得するなど、ドラフトでも上記のような選手たちを加えチームを活性化させた。
日本一のチームを実現する中内オーナーの思いは現在のソフトバンクホークスが引継ぎ、今シーズンはリーグ優勝、そして巨人を下し日本一に輝くことで成し遂げられたのだった。昨季も巨人を下し日本シリーズを制したが、パ・リーグ2位からクライマックスシリーズを勝ち抜いたもの。セ・パの王者として対峙したのは2000年の「ON決戦」以来、20年ぶり。当時は敵地で連勝しながら4連敗で敗戦したがようやく当時の“借り”を返した。
ホークスを語る上で外せないのが王貞治の存在。瀬戸山氏は中内オーナーと根本監督から失敗は許されない重大な任務を受けることになる。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)