阪神から3人、中日京田は「残念」…専門家が独自選出したセのゴールデングラブ賞は?
「元巨人の桑田真澄氏にも匹敵する」阪神・西勇の抜群の守備力
守備の名手に贈られる2020年の「三井ゴールデン・グラブ賞」が18日に発表される。5年以上のプロ野球取材経験を持つ新聞、テレビなどの記者が投票して選出するが、専門家が独自の視点で選ぶと、顔ぶれが変わることも。ここでは、ヤクルトや日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)で通算21年にわたって捕手として活躍した野口寿浩氏が選んだセ・リーグの“受賞者”たちを紹介する。
○投手
西勇輝(阪神)
21試合、守備機会37、守備率.946
6刺殺29補殺2失策2併殺
「彼はうまいです。内野手的なグラブさばき、バント処理の際、打球に対してマウンドから一直線に下りてくるコース取り、ターンの速さ、送球の正確さ、牽制球も含め、全てそろっている」と野口氏は絶賛。牽制球では、10月8日の広島戦で、遊撃内野安打で出塁した鈴木誠を3球目の牽制で刺したのが好例だ。広島側がリクエストしたが、判定は変わらず。オリックスからFA移籍2年目の今季は11勝5敗、防御率2.26と阪神のエースとして申し分のない働きを見せた中、投球以外の技術も身を助けている。野口氏は「僕の現役時代は、元巨人の桑田真澄さんのフィールディングが素晴らしくて、投手で出場しない時にはショートかセカンドでやれるのではないかと思ったほどだが、西もそれに匹敵する」と評する。
○捕手
梅野隆太郎(阪神)
97試合、守備機会698、守備率.996
627刺殺68補殺3失策4併殺
「ワンバウンドの投球を後ろへ逸らさないブロッキング技術が、ソフトバンクの甲斐と並んで球界双璧」と野口氏は評価。盗塁阻止率も.333と相変わらず高い。今季は右脇腹を痛めて4年ぶりに出場選手登録を抹消されたが、離脱を12日間にとどめ、チームの2位フィニッシュに貢献した。一方、今季頭角を現した捕手として野口氏が注目するのが、中日の木下拓。87試合でマスクをかぶり、うちスタメンがチーム最多の74試合。郡司、加藤、A・マルティネスらとの正捕手争いで一歩抜け出した格好だ。盗塁阻止率はリーグトップの.455をマークした。「中日が一時の最下位から浮上し、最終的にAクラスの3位になれたのも、木下拓の功績が大きい」と野口氏は見ている。来季以降、同い年の梅野との張り合いが見ものになりそうだ。
○一塁手
ホセ・ロペス(DeNA)
75試合、守備機会636、守備率.997
589刺殺45補殺2失策44併殺
「各球団の主力一塁手を思い浮かべると、阪神・ボーア、広島・松山、ヤクルト・村上は、申し訳ないけれどゴールデングラブ賞レベルの守備といえない。巨人・中島もいまひとつ。中日・ビシエドとロペスの二者択一だった」と野口氏。最終的にあえて、今季限りで退団の決まったロペスを選出した。もともと、昨年まで一塁手としてゴールデングラブ賞を4年連続5度獲得した名手。野口氏は「ワンバウンドの送球をすくい上げるのがうまい」と指摘し、「37歳となり、さすがに守備範囲は年々狭くなっているが、グラブさばきは柔らかい。さすがメジャーで二塁を守った選手と思わせる」と言う。