松坂大輔、現役続行の“意義”と果たす役目… 西武が描く引退後の青写真とは?
現役として示す手本…40歳の松坂が現役を続ける意義
球団OBの1人は「監督・コーチが言うのと、現役として見本になる姿勢を示すのとでは、若い選手に与える影響が全然違う」と言う。そういう意味で、14年ぶりにチームに戻って来た40歳の松坂が現役を続ける意義は大きい。
今年70周年を迎えたライオンズを象徴する存在でもある。メジャー帰りの2015年にはソフトバンクへ。2018年から入団テストを受けて中日に入団した際には、功労者に対して真っ先に手を上げるべきだったと指摘するOBらの声もある。ただ昨年、渡辺久信GMが編成部門トップの座に就いて松坂復帰の流れを作った。松坂に他球団のユニホームを着せた轍を踏むことなく、基本的に本人の気が済むまで現役を全うさせ、指導者としてチームに残す青写真を描いているという。
日本復帰後は相次ぐ故障に悩まされている松坂だが、前出のOBは「あれだけ満身創痍になりながら、現役を続けようという熱意には頭が下がる。カネは十二分に稼いできたはずだから、モチベーションを支えているのは、それではない。プロ野球選手は誰でも、1年でも長く現役を続けたいと思いながら、ケガや体力の衰えで心が折れていくものだが、松坂にはそれが見えない」と感心する。
単なる結果だけではない。平成の怪物が自分の衰えと格闘する生きざまを、ファンも見守ることになる。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)