大学4年間は遠回りではない 常総学院初の“ドラ1”でロッテ入りの法大・鈴木の決断

ドラフト注目の常総学院3年生右腕も今年プロ志望届を出さなかった

 日が暮れ始めた頃、鈴木は校舎を出て、野球部のグラウンドへ後輩たちを激励しに行った。今秋の関東大会で準優勝を果たしたナインへエールを送った。記念撮影では、鈴木の後に球児たちが引き締まった表情で並んでいた。この中から、先輩左腕の背中を追って、プロになる選手も出てくるかもしれない。

 地元のテレビ局などの取材を済ませると、向かった先は思い出の残るブルペン。それまで“大人になった”鈴木の表情が思わず緩んだ。懐かしさがそうさせていた。

「悔しい思いや4年間、頑張ってきたことが蘇ってきて、とても感慨深い気持ちになりました」

 視線の先には3年生の一條力真投手がブルペンで投げ込んでいた。約190センチの身長から最速148キロのストレートが武器。今すぐにでもプロで投げられそうな雰囲気だが、彼はプロ志望届を出していない。投球でも精神的にも、まだ足りないものがある。もう一段階、上のレベルで鍛える必要性を感じ、本人が学校側で相談し、進学を決めたという。一條の投げ込みが終わると鈴木は「僕の高校3年生の時よりも数段、上じゃないですか?」と高度な投球に驚かされていた。

「一條君は自分と同じような形で大学進学になったと思うので、頑張ってほしいと思います」

 意外にも常総学院からドラフト1位でプロ入りするのは今回の鈴木が初めてだった。先日、この世を去った名将・木内幸男監督の時代からなかったことを考えれば“偉業”と言っていいかもしれない。新しい扉をこじ開けたことになる。高いレベルに身を置いて、戦い抜いた東京六大学での4年間。技術、精神的にも成長の階段を昇った。

“低かった”評価で肩を落としてから、4年。グラウンドに戻ってきた姿は頼もしかった。鈴木は現在の部員たちと記念撮影。後ろでは後輩たちがその大きな背中を見つめていた。大学、社会人に進むことは決して遠回りではない。志高く持って努力を惜しまなければ、夢は叶う大切さを伝えた。そして、ここからがスタートラインであることも自分に言い聞かせた。人生の決断をしたこのグラウンドで、決意を新たにした。

【動画】この中からまたプロが…ロッテ1位の鈴木昭汰が思い出の常総学院グラウンドに凱旋した実際の映像

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