23年ぶり珍事はなぜ起きた? 殿堂入り競技者表彰「該当者なし」に終わった理由
競技者表彰委員会代表幹事の永瀬郷太郎氏「有力な新人候補が集中したのは極めて珍しい」
昨年に続いて候補となった19人のうち、高津氏とラミレス氏の得票数は昨年と同じ。その他の17人は得票数を減らした。その分、新候補者11人に票が流れたことになる。競技者表彰委員会代表幹事の永瀬郷太郎氏は「今回のように有力な新人候補が集中したのは、極めて珍しい。その分、票が割れた」と分析した。
一方で、「最近は選手たちのメジャー志向が強まり、挑戦して“壁”に跳ね返される選手も多いことから、通算成績が伸びない傾向がある。投手でいえば、先発ローテーションや先発・リリーフ分業化も定着し、昔のように何百勝もするのが難しい状況だ」と指摘する関係者もいる。
2025年に候補者入りするとみられるイチロー氏のような超大物も残っているが、「全体的に候補者は“小粒”になっていくのではないか」と懸念する声が上がっている。
「エキスパート表彰」は、指導者としての実績も加味し、監督・コーチ退任後6か月以上、もしくは現役引退後21年以上を経過した人が対象。野球報道30年以上の委員などが最大5人連記で投票し、75%以上を得票すれば殿堂入り。今年の有効投票数は134で、候補者20人のうち、得票数トップのランディ・バース氏は70.9%の95票。当選にあと6票足りなかった。2位は掛布雅之氏の54.5%(73票)だった。現役時代に3冠王に2度輝き、熱心な阪神ファンにいまだに「神」として崇められているバース氏だが、指導者経験はなく、今更ながらエキスパート部門で議論されるのには、やや違和感もある。
野球人にとって最高の栄誉ともいわれる「殿堂入り」。来年こそ、競技者からそれに浴する人が現れるだろうか。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)