ロッテ安田は“本物の4番”に成長できるか? 向上した変化球の対応と見つかった課題
昨季記録した7本塁打の内訳は、さまざまな面で興味深いものに
先ほど紹介した球種別の打率に関連して、ポストシーズンも含めた、安田が2020年に公式戦で放った本塁打の内訳を参照。長所と課題が、また違った角度から見えてきた。
表にある通り、7本全てが変化球を打って記録したものに。裏を返せば、速球を打ち返して本塁打にしたケースは、今季を通じて1つも存在しなかったということだ。パ・リーグの投手たちのストレートに力負けしない打撃ができるかどうかは今後長距離砲として覚醒できるかどうかを占ううえでも、非常に重要な課題となるだろう。
しかしながら、この結果は安田の変化球を捉える技術の高さを証明するものでもある。苦手としているフォークを捉えて記録した本塁打も2本あり、ソフトバンクの千賀と西武の高橋光という、鋭いフォークを決め球とする投手から放っているという点でも価値がある。また、内角に入ってくる石川のパワーカーブを引っ張って本塁打にしたケースもあり、変化球であれば、一線級の投手の得意球を捉えられるだけの技量を備えていることがうかがえる。
打球方向としては全てが引っ張りで、変化球を強くたたいて引っ張ることが得意と言えそうだ。ただ、8月9日のオリックス戦で見せた、左腕・山田の速球に対して逆らわずに弾き返し、レフトの頭上を越える2点適時打を放ったシーンに象徴されるように、逆方向に伸びる打球が全く見られなかったわけではない。そういった打球がより力強さを増し、スタンドまで届くようになってくれば、長距離砲としての幅もさらに広がってくる。