過密日程でリリーフの負担軽減? 昨季の登板を143試合に換算して見えたもの
ロッテは終盤以外は3連投を極力避ける方針、益田は大車輪の働き
ロッテは順位争いが激化した終盤を除いて、3連投以上を極力避ける方針だった。その中で、リーグトップタイの登板数を記録した益田直也の存在は非常に大きなものだ。あくまでも計算上だが、143試合換算での64試合という数字は、9年間のキャリアの中で4番目に多い数字。同じく143試合換算での37セーブは最多セーブに輝いた2013年(33セーブ)を上回り、まさに大車輪の働きだった。
また、143試合換算でシーズン50試合ペースを超えたのは益田のみ。年間を通じて自責点4という抜群の安定感を見せた唐川侑己、ともに楽天から移籍してきた小野郁とハーマン、シーズン途中に巨人から加入した澤村拓一、幅広い起用に応えた東條大樹と、個性的な陣容を息切れさせることなく運用したことが、チームの好成績につながったという見方もできそうだ。
オリックスにおいて、2018年に30試合、2019年に40試合と年々登板機会を伸ばしていた山田修義は、短縮シーズンでありながらキャリアハイとなる48試合登板。例年なら57試合登板、21ホールドというペースだった。また、来日1年目のヒギンスも例年なら50試合に迫るペースで登板を重ね、セットアッパーを固定できずに苦しむチームの中で奮闘を見せた。
前年の途中から抑えを任されているディクソンは、チームの不調もあってセーブ数こそ伸びなかったものの、143試合換算ではハイペースで登板を重ねていたことがわかる。安定感のある投球でブルペンの一角に定着した吉田凌、左のリリーフとして山田に次ぐ存在となった齋藤綱記という若い2人が、それぞれ30試合以上の登板機会を得たことも、今後のチームにとっては明るい材料となりそうだ。
143試合換算で60試合登板を超える選手が、他球団に比べて多い4人にのぼったソフトバンク。ただ森唯斗、高橋礼、モイネロ、嘉弥真新也と、その4人全員がパフォーマンスを急激に落とすことなく、いずれも防御率2点台以下で投げ抜いている。特殊なシーズンにあっても、変わらぬ稼働率と安定感を発揮したブルペンが、リーグ優勝の原動力の一つとなったのは間違いないだろう。
加えて、プロ2年目の泉圭輔も、例年なら50試合に迫るハイペースで登板。時には右のワンポイントという変則的な起用にも応えながら、好成績をマークした。2014年のドラフト1位右腕・松本裕樹が、リリーフとして一定の登板機会をつかみ、僅差の場面での登板を少なからず経験したことも、チームにとってはポジティブな要素と言える。