規模は男子の1/20、最高年俸1000万円…元NPB戦士が掲げる女子野球“プロ化”の夢

埼玉西武ライオンズ・レディースの新谷博監督(左端)【写真:編集部】
埼玉西武ライオンズ・レディースの新谷博監督(左端)【写真:編集部】

昨年は西武、今年は阪神が“参入”、「ほかのNPBの球団も…」と期待

 実現すれば「女子野球をこれからはエンターテインメントにしていきたい」という発想の実践の場になる。「あそこのグラウンドに行くと、本当に楽しいんだよねと感じてもらう空間。その中に野球があるというものを目指したいです。試合が終わったら、グラウンドに降りてきて、みんなで一緒に遊ぼうとかね。子どもたちがいっぱい来てくれるといいな」と語る。

 プロ野球界においても、女子野球普及の動きは活発になっている。昨年の西武に続き、今年は阪神が「阪神タイガーズWomen」をスタートさせ、元女子プロ野球の選手を中心に17人と精鋭が集まった。「ライオンズとタイガースのユニホームを着て試合をやったら、今の女子野球界ではNo.1マッチですよね。ほかのNPBの球団もどこか手を挙げてくれるかなと期待はしています」とさらなる拡大に希望を抱く。

 これまでも巨人が関東女子硬式野球リーグ(ヴィーナスリーグ)、阪神が関西女子硬式野球リーグ(ラッキーリーグ)を支援してきた。「NPB関係者で注目してくれている人は結構多いです。今は遠巻きながら、どんな感じかなくらいには見てると思うんです。だから、ライオンズとタイガースが成功させないと後に続かないと思っています」と発展途上にある女子野球界の先頭を走る覚悟だ。

 今は全員が無報酬で活動するクラブチームだが、いずれはプロ化の夢も持っている。「目指しています。僕が生きている間にできるか分かりませんが(笑)。男子の20分の1くらいの世界でできたら。最高年俸で最初は1000万円もらえたらいいかな」と語る。

 イメージするチーム数は4チーム。「12球団は無理ですよ。トッププレーヤーがそんなにいないので、レベルが保てなくなる」。女子野球の現状を知り尽くしている新谷監督だからこそ口にできる具体的な数字だ。「面白い子が集まっているから楽しみ」というライオンズ・レディースの選手たちとともに、将来のプロ化を見据えて新風を吹き込んでいく。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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