楽天石井監督が期待する“田中将大塾” 日米通算177勝の生きた素材が与える効果

ブルペン脇で森原(右)と言葉を交わす楽天・田中将大【写真:荒川祐史】
ブルペン脇で森原(右)と言葉を交わす楽天・田中将大【写真:荒川祐史】

石井監督も「選手同士の会話が1番成長につながる」

 森原は昨季序盤に守護神を務め、開幕から9試合連続無失点の快進撃だったが、7月22日のオリックス戦で2/3回6失点と炎上したのをきっかけに失速。結局17試合1勝2敗4セーブ2ホールド、防御率7.56に終わった。“田中スプリット”を修得すれば、躍進のきっかけとなる可能性は十分秘めている。

 石井一久GM兼監督は「選手同士の会話が1番成長につながる。コーチとのディスカッションももちろん大事だが、体の使い方や感覚的なことは(現役同士の方が)伝わりやすい」とうなずく。その上で「成長する過程で、自分から聞きに行く勇気も大事だと思う」と付け加えた。

 小山伸一郎投手コーチも、田中将とは現役時代から同僚として仲が良かっただけに、積極的に若手との橋渡し役を務めている。

 昭和の時代には、「同僚や後輩といえども、1軍や先発要員の枠を争うライバルなのだから、自分の技術は教えない」という考えの選手も多かった。「教えてほしかったらカネを持ってこい!」と一喝する選手もいたほどだ。しかし時代は変わり、兄貴分のダルビッシュ有投手など、田中将も基本的に礼儀を尽くして質問して来る選手には、惜しみなく技術や知識を教えている。

「チームにとってプラスになるなら、自分が知っていることや知識をどんどん伝えていきたい。隠すことはない」とキッパリ。ただし、「こちらから押し付けるようなことはしたくない。『調子どうや?』とこちらから声をかけることはあっても、あくまで『聞いてくれればなんでも答える』というスタンスでいきたい」と強調した。

 急転直下だったが、田中将とチームメートになれた選手はやはり願ってもないチャンスだ。ここまで言われて、質問しに行かない手はないだろう。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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