「選手の素顔も知ってもらいたい」コロナ禍と闘う“最多勝広報”藤井秀悟さんの今

DeNA・藤井秀悟BP兼チーム付広報【写真:小谷真弥】
DeNA・藤井秀悟BP兼チーム付広報【写真:小谷真弥】

01年セ最多勝の藤井秀悟さんはDeNAのBP兼チーム付広報として奮闘中

 2月4日夜。DeNAの戸柱恭孝捕手、柴田竜拓内野手、神里和毅外野手の主力3選手が球団公式インスタグラム上でインスタライブを行った。このイベントを裏方として支えたのが、現役時代に通算83勝を挙げた藤井秀悟さんだ。「ファンのために何ができるか。球団として『SNSに力を入れていこう』という時にコロナ禍になったので、球場での観戦など選手を直接見られる機会がなくなってしまったため、より力を入れて配信するようになりました。去年はツイッターの撮影だけだったんですけど、今年からは撮影に加えて編集、投稿もしています。まだやりがいを感じるほど、うまくこなせていないところがありますけど」。コロナ禍でも奮闘している。

 1999年ドラフト2位の逆指名でヤクルト入り。2001年に最多勝&ベストナインに輝き、3度の2桁勝利をマークし、日本ハム、巨人、DeNAと15年間活躍した。一方、プライベートでもヤクルト時代の2006年10月にオフィシャルブログ「野球小僧」を開設。愛犬・6匹の紹介など私生活も積極的に発信し、球界一のブロガーとして取り上げられてきた一面も持つ。

 2015年から巨人の打撃投手として、2020年からDeNAの球団スタッフとして加わった。「今まで野球しかしていなかった。いろんな人と関わりたい。いろんな世界が見たい」。自ら「天職」と言う打撃投手と広報業を兼務することになった。長く選手としてプレーしたからこそ、結果が出なかった時など選手たちの心境が痛いほど良く分かる。「あまり知られていない選手を紹介したい。選手のいいところをたくさん取り上げてもらいたい。ファンの方に選手の素顔も知ってもらいたい」。これが広報業務をする上で心がけていることだ。

 自身の現役時代の反省もある。「自分の意見を発信できる。歪曲されずに自分のことを言える場が欲しい」と始めたブログでは、たまに球団から「気を付けて」と注意されることもあったという。だからこそ、今の仕事にも生かせる。「10年間ぐらい毎日続けてきて、その中で失敗もありました。選手としては、どういったことに気を付けた方がいいのか。例えば、背景や映り込みだったり……。ブログをやっていたので、文言の言い回しをこうした方がいいと修正したりするのが得意です。野球だけでなく、それ以外の面でもサポートして、ファンの方に見てもらいたいです」。

 BP兼チーム付広報としての2年目は、春季キャンプ無観客開催という難しい舵取りとなっている。「現役を経験させてもらった僕が広報になることによって、僕なりの広報の形を作っていけたらなと思います。ファンのために何ができるか。コロナの中でどう動いていくか。今まで野球に興味がなかった人たちにも見てもらえるようになりたいですね」。現役選手たちの魅力を、より多くの人に伝えていく――。かつての一流投手が陰ながらチームを支えている。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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