「必ずドラフト1位で選ばれる」プロ注目左腕、筑波大・佐藤隼輔のブレない強さ

筑波大・佐藤隼輔【写真:佐藤直子】
筑波大・佐藤隼輔【写真:佐藤直子】

プロスカウトやメディアが注目も「自分がやることは変わらない」

 今秋のドラフトに向けて注目を集める国立大左腕がいる。筑波大硬式野球部の佐藤隼輔投手だ。2021年の練習始めにはメディア5社が取材に訪れ、別の日にはプロスカウトが目を光らせた。それでも、当の本人は至ってマイペース。「注目されているとは言われていますけど、自分がやることは結局、変わらないと思っているので」と笑みを浮かべる。

 ドラフト候補として名前が挙がるのは今回が初めてではない。宮城・仙台高3年の時も、夏の県予選にはプロ10球団が視察に訪れた。甲子園出場経験はなく、最高成績が県大会ベスト8という公立校エースにスカウト陣は光る原石を見たが、プロ志望届は提出せず。「4年後には、必ずドラフト1位で選ばれる」という強い思いを持って、筑波大への進学を決めた。

 筑波大と言えば、国内屈指のスポーツ研究を誇る大学だ。入学すると、同大硬式野球部で監督を務める川村卓准教授に師事。動作解析の第一人者として知られる川村准教授をはじめ、元五輪陸上選手の谷川聡准教授、外科系スポーツ医学を専門とする福田崇准教授ら、各分野で深い知見を持つ専門家から受けるアドバイスを元に、多角的なアプローチを取りながら、地道なトレーニングを積み重ねる。

「大学に来て一番大きく変わったのは体の使い方ですね。トレーニングをするにしても、どこに効いているのか、どういう効果があるのかを理解した上で取り組めるようになりました。投球においても、どういう体の使い方が大事なのか、怪我につながりにくいのかなどを指導していただいています。長く安定した結果を出すためにも基礎を知ることは必要。ここには川村先生はもちろん、いろいろなスペシャリストの方がいる。それが自分の大きな力になっています」

 元々、プロスカウトの目に留まる逸材だ。その上、大学で自身の体について理解を深め、投球について知識を増やしたのだから才能が開花するのは時間の問題だったのかもしれない。入学時は最速144キロだったストレートが、1年後には最速151キロに到達。プロの前にも高くそびえる時速150キロの壁を超えてもマイペースは揺るがない。

「150キロを超えたのは大学代表の時(2019年)。その前から球速が伸び始めて、練習では148キロが出たこともありました。代表の雰囲気でアドレナリンが出ていたと思うので、150キロを超えたのはそこまで驚きはなくて、『あ、出たか』くらいの感じ。球速を上げようと思って上がったわけでもなく、トレーニングの結果として自然と上がったっていう感じだったんです」

150キロ超のストレートを持つが「そこまでスピードは重視していない」

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