山口俊「やっぱり諦めきれない」 27分ロング会見でにじませたメジャーへの思い
2年ぶりNPB復帰の可能性が指摘される中で米球界残留「このまま日本に戻っても悔いが残る」
ブルージェイズから自由契約となり、ジャイアンツとマイナー契約を結んだ山口俊投手は22日(日本時間23日)、日米報道陣のオンライン取材に対応した。約27分間の会見で、山口は「伝統のあるチームで、すごい僕自身ワクワクしています。どのポジションと言われていない。どのポジションでもチームに貢献できるようにするだけ」とメジャー昇格へアピールを誓った。
山口の眼光は鋭くギラついていた。メジャー昇格への挑戦権をつかみ、自身が抱く“夢”を熱く語った。
「やっぱりメジャーリーグという舞台で1年間投げぬく。ダメだったとしても、やっぱり自分が納得、満足できる内容でないと諦めきれない。まずは自分が納得いくように、アメリカで野球をやっていきたいと思います」
コロナ禍の調整に苦しんだ昨季は17試合登板で2勝4敗、防御率8.06と苦しみ、キャンプイン直前にブルージェイズのメジャー選手登録の40人枠から外れていた。2年ぶりにNPB復帰する可能性もあった中での米球界残留。通訳も入った会見では、昨季の不完全燃焼と今季にかける思いを語り尽くした。
「昨年の成績、結果に納得できていない。このまま日本に戻っても、この先悔いが残るというのがあった。今年に向けてトレーニングをしていく中で僕自身も手応えがあった。今の状態でメジャーで通用するか確認したいというのが一番の理由です」
「納得して満足して投げたボールが打たれるか、打たれないか。昨年は納得して打たれた、というのがなかった。自分の中で『もっと出来るんじゃないか』という思いが強いです」
納得できなかったのは結果だけではない。昨季中はメジャーリーガーのフィジカルの強さに圧倒されたという。満足できる投球をすべく、オフはトレーニングに臨む意識から変えた。
「投げる、走る中で瞬発的なパワーがすごく劣っているなと感じました。これまでは維持するイメージが強すぎた。今年は1日1日、自分を進化させようとトレーニングしてきた」
イメージ通りにトレーニングを積んできたからこそ、メジャーへの思いはより強くなる。「しんどいとかはないですね。日本でプレーする時も自分の活躍が確定されているわけではない。今の自分にとってすごくプラスでいい経験。いいプレッシャーの中で野球ができると思います」と表情を引き締めた。
元巨人のゲーブ・キャプラー監督からは「私はその決断と日本で活躍したことを信用している。2019年は素晴らしい状態で、2020年はベストな年ではなかったと感じている。彼の決断とハングリーさを信用しており、それが2021年のパフォーマンスに繋がると信じている」と期待された。開幕ロースターに入らなかった場合、マイナー契約をオプトアウト(契約破棄)することができるが、当の山口は1か月後のことなど頭にない。
「正直、先のことは考えてないですね。日々1日1日を大事にして、まずメジャーの40人枠を勝ち取ることを考えています」
山口俊の勝負の1か月が始まった。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)