助言惜しまない田中将大の姿に思い出す北京五輪…ダルビッシュが示した“手本”
ダルビッシュがやって見せ、マー君が真似る…北京五輪で見た光景
練習中や試合中のブルペンで、当時日本ハムだった2歳上のダルビッシュ有投手(現パドレス)からアドバイスを受ける姿があった。まずダルビッシュがシャドーピッチング風に投球動作をやってみせ、マー君がそれを真似る光景を何度か見た。日本へ帰れば同一リーグの敵同士なのに……とも思ったが、2人からは高いレベルで野球を追究する者同士の連帯感が漂っていた。
田中将はメジャー移籍後、毎年オフに楽天の球団施設を借り、松井裕樹や則本昂大、辛島航らと一緒に自主トレ。その“チーム田中”の面々との時間も、教えやすい環境づくりにつながったと言える。投手陣のトレーニングを指導する球団コンディショニング部マネジャーの星洋介氏や長坂健治ブルペン捕手らスタッフとも毎オフ顔を合わせていた点も、チームに溶け込む時間を縮めた。
小山伸一郎投手コーチとは、メジャー移籍前の同僚時代から仲が良く、コーチの職域を侵すこともない。そもそも、7日に田中将からスプリットの握りを教わり“弟子入り第1号”となった引地秀一郎は、小山コーチに促されて教えを乞うたのだった。
他人に教えることは、自分の技術を理論づけ、確認することにもつながる。さらに、マー君は後輩のピッチングから「自分に生かせそうなところがあれば生かしたい」とも語っている。伝説のエースの復帰が、チームに相乗効果をもたらす環境は整った。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)