楽天の開幕投手は涌井に決定? 石井監督が掲げた条件に照らし合わせると…
求める開幕投手像は“イニングイーター”、最有力は涌井か
4人の候補の中で、「昨年1番頑張った」と言えば涌井だろう。20試合に登板して11勝4敗で最多勝に輝き、防御率も3.60と安定していた。岸は7勝を挙げ無敗だったが、腰の違和感でシーズン序盤に出遅れて11試合登板にとどまった。則本昂は18試合で5勝止まり。田中将はコロナ禍でメジャーリーグのシーズンが大幅に短縮され、10試合で3勝3敗だった。
そして指揮官は、開幕からどんどんイニング数を稼ぐことができるタフネスと安定感を求めている。その点でも、涌井は昨季チームでただひとり規定投球回数を突破し130回を投げた。岸は67回1/3、則本昂は109回だった。田中将の場合、昨季こそ10試合で48回の投球機会しか与えられなかったが、一昨年は中4日が基本のメジャーで32試合(うち先発は31試合)11勝9敗、182回も投げているから、指揮官が求める能力は実証済みと言える。
石井監督自身、現役時代にはヤクルトのエースとして1998年から2001年まで4年連続で開幕投手を務め、4年間のメジャーを経て燕軍団に復帰した後も、2007年に1度務めている。そんな元左腕が指揮官として初めて指名する開幕投手は誰で、どんな理由を語るのか。新監督の野球観がそこに表れそうで興味深い。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)