「梨泰院クラス」の女優が野球少女を熱演 モデルになった日本の女子投手は?
映画「野球少女」脚本・監督を務めたチェ・ユンテ氏インタビュー
日本でも大ヒットした韓流ドラマ「梨泰院(イテウォン)クラス」のイ・ジュヨンが、プロ野球界に挑む少女を演じたのが「野球少女」(3月5日公開)だ。脚本・監督を務めたチェ・ユンテ氏がオンライン・インタビューに応じ、撮影秘話を語った。高校の女性投手がプロ球界を目指す感動ストーリー。主人公は実在の韓国選手だけではなく、日本の“ナックル姫”吉田えり選手の活躍もヒントになっていたという。【平辻哲也】
映画の主人公はリトルリーグ出身で、最高球速134 kmを誇る高校野球部のピッチャーとして数々のメダルを獲得したチュ・スイン(イ・ジュヨン)。卒業を控え、プロ野球選手になる夢を叶えようとするが、女子という理由で入団テストさえ受けることができない。周囲からも「現実を見ろ」と忠告されるが、スインは諦めない。そんな姿に、かつてプロ野球選手になる夢に破れたコーチが心を動かされていく……。
チェ・ユンテ監督は「プロのバスケットボールもバレーボールも競技名の前に『男子』『女子』の性別がつくのに、プロ野球に性別がつかないのは、男女誰もができるからじゃないか」と考え、企画した。「NBAのドラフトを調べている時に思いついたんです。普段からNBAに関心を持っていたんですね。毎年、新しい選手が選抜されるんですけれども、今年はどんな選手がNBAに挑戦するんだろうかと思って。調べているうちに女性の野球選手がこんなふうにしてプロ野球に挑戦したら面白いんじゃないかと思って、シナリオを書き始めました」。
女性投手が球界に挑戦と聞けば、思い出すのは、アンダースローの左投手、水原勇気が活躍する漫画「野球狂の詩」(水島新司氏)だが、この存在は知らなかったという。モデルになったのは1997年に韓国で女性として初めて高校の野球部に所属し、KBO(韓国プロ野球)が主催する公式試合で先発登板したアン・ヒャンミ選手だ。
しかし、日本にも08年に関西独立リーグの合同トライアウトに合格し、ドラフト会議で神戸9クルーズから指名を受け、後に米独立リーグで活躍した“ナックル姫”吉田えり選手(現・エイジェック女子硬式野球部)がいる。
「はい、知っていました。ヒントになりましたね。吉田選手が活躍している姿が本当に印象的だったので、シナリオに取り入れていました。吉田選手は『姫』と言われているけど、スインは『自分には姫は合わない』っていうセリフもあったんです。撮影もしていたんですけど、編集の段階で入れられなくなってしまいました」。