「イーグルスの全てを知る男」 楽天小山投手コーチが果たす重要な役割
球団創設年に入団し現役、コーチを通じ1度もユニホームを脱いだことなし
田中将大投手の復帰などで2013年以来8年ぶりのリーグ優勝、日本一が現実味を帯びている楽天。重要な役割を果たしそうなのが、小山伸一郎投手コーチだ。球団創設の2005年から現役、コーチ時代を通じ楽天のユニホームを着続けており、「イーグルスの全てを知る男」と言って過言ではない。
昨季は三木肇監督(現2軍監督)の下、伊藤智仁投手チーフコーチ(現ヤクルト投手コーチ)とコンビを組み、ブルペンを担当していた。今季はメインの投手コーチに“昇格”。試合中にマウンドへ駆け寄り間合いを取るようなことは未経験で、「僕も正直言って、どのタイミングで行けばいいのかわからない部分がある。東京に行ってから(19日以降、開幕前最後のオープン戦3試合で)監督と相談しながら動いてみたい」と初々しい。
現役時代は、球団創設の2005年に中日から移籍した。2015年限りで現役を引退するまで11年間、中継ぎや抑えとして活躍。投手陣のまとめ役としても重要な役割を果たした。ユニホームを脱ぐことなく、翌2016年からコーチに就任。2軍を受け持つことが多かったが、昨年は1軍のブルペン担当。今季はついに1軍投手陣を束ねる立場となった。8年ぶりにチームに復帰した田中将とも、現役時代から親密な関係にある。
2018年9月にそれまで縁がなかった楽天のGMに就任し、今季から新たに現場の指揮も執る石井一久監督にとって、頼もしい相談相手になるはずだ。
公式戦開幕まで2週間を切ったこの時期、投手陣の調整やメンタルに気を遣う。12日と13日は、DeNAとのオープン戦(静岡)が2試合続けて雨天中止。13日に先発予定だった田中将は翌14日の同カードにスライドし、もともと14日先発予定だった早川隆久と2人で9イニングを分け合うことになった。
これに伴い、中継ぎ陣は登板機会を喪失。そこでドラフト4位ルーキーの内間拓馬、酒居知史、菅原秀の3人は試合勘を維持するため、2軍戦に登板することになった。小山コーチは「この時期の投手は『ファームへ投げに行ってくれ』と言われただけで(2軍落ちと誤解して)敏感になる。呼んだ時から心配そうな顔をしていたので、『また1軍に戻ってくるよ』と話しました」と苦笑した。
現役時代から明るい性格と人望の厚さで知られた小山コーチ。田中将、涌井秀章、岸孝之、則本昂大、早川ら豪華な顔ぶれがそろった投手陣を、どうまとめ上げるか。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)