“破壊した”金属バットは20本 母校の先輩・巨人岡本を凌駕する智弁学園主砲の素顔
高校通算30本塁打の前川右京外野手に小坂監督「飛ばす力は和真よりある」
「飛ばす力は岡本(和真)よりあるかもしらん」――。智弁学園の小坂将商監督が入学時から認め続けるスラッガーが高校通算30本塁打の前川右京だ。177センチ、90キロ。三重県にいる母から送られてくる手作りハンバーグをお供に補食を摂り鍛えた体は、グラウンドでもひときわ目立つ。【市川いずみ】
取材日だった2月中旬のある日の練習では「意識している逆方向」、120メートル以上先にあるバックスクリーン左を悠々と超える打球を放っていた。前川のパワーを象徴するのは飛距離だけではない。
「ここにあるわ~!折ったバット!」
井元康勝部長が見せてくれたのは“折れた金属バット”。金属バットが折れるなんて聞いたことがなかったが、よく見てみると縦に綺麗にヒビが入っている。
「真芯でとらえても抜ける感じです。捉えた感触はあるんですけど、当たった瞬間に軽くなります。インパクトの時にしっかり力が入ってるからその衝撃で折れてるんだと思います」
金属バットが折れたことを冷静に分析する前川だが、驚いたのがこれが1本ではなくもう20本以上も折っているということだ。「周りも『またか!』って感じですね」奈良県五條市では当たり前の光景となっているのかもしれない。
秋の大会は公式戦9試合で打率は4割ちょうど。3番打者として「どういう状況であっても最低5割は打ってチームを勢いづけるバッターにならないといけないと思っていて、まだ詰めの甘さが出ていたというか準備の甘さが出ていたと思います」と全く納得がいっていない。