「まずはアウトを取ること」 DeNA柴田竜拓を変えた伝説の名手の“シンプルな”教え

米球界屈指の名手から得た教え「何のために守っているかと言ったら…」

 何よりも大切なのは基本。基本がブレたら、そこから派生する応用もブレる。「何のために守っているかと言ったら、アウトを取るため。その本質を改めて感じさせられました」。当たり前だが忘れがちな姿勢を思い出させてくれた原点回帰の体験。以来、柴田の考え方もシンプルになった。

「シンプルな中にも細かい準備はあるし、データだったり、その場で自分が感じることを取り込んだり。一生懸命投げているピッチャーを助けるために、しっかり準備をしてアウトを取れるように、という気持ちを持っています。ピッチャーが投げないと野球は始まらないので」

 オープン戦でも二塁、三塁、遊撃と様々なポジションに就いているが、今季の目標を変えるつもりはない。

 昨季はコロナ禍により開幕が3か月ずれ込んだが、今季は無事、3月26日に開幕を迎える予定だ。かつては当たり前だと思っていたスケジュール通りの開幕が、実はそうではないと知った今、より一層感謝の気持ちを持って野球に取り組んでいる。

「緊急事態宣言でいろいろ制限がある中で、僕たちはこうやってオープン戦をやらせてもらっている。順調にいけば予定通り開幕を迎えますが、それは当たり前のことじゃない。僕たちがやりたい野球を何不自由なくできるのは、そこに行き着くまでにいろいろな方が携わり、協力してくれたおかげだと思います。当たり前に開幕を迎えられるのは当たり前ではないので、いろいろな方に感謝の気持ちをしっかり持ってやりたいと思います。再考のパフォーマンスをすることが一番の恩返し。全力で集中して頑張ります」

 勝負の6年目。今季はひと味違った柴田竜拓が期待できそうだ。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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