兄は巨人右腕、明豊・太田虎次朗はプロ注目の左腕「自分は気持ちがまだ弱い」

明豊・太田虎次朗【写真:編集部】
明豊・太田虎次朗【写真:編集部】

甲子園交流試合登板で成長「もう1回あそこで投げたい」

 初めて背番号をもらったのは大舞台だった。「入学してすぐに肩を怪我しました。張り切りすぎて投げすぎました(笑)」。入学直後は3か月ほど投球できなかったが、故障の過去を笑って話せるのも聖地・甲子園のマウンドを経験できるまで成長できたこともあるだろう。

 昨年夏に甲子園で行われた交流試合・県立岐阜商業戦。太田は10番を背負って憧れのマウンドに立った。9回に登板して1イニングを1安打1失点で勝利に貢献。このマウンドが太田の“弱気”を払拭してくれた。

「試合が始まるまでは緊張して、興奮していました。ここが目指してきた場所なんだなと改めて実感して、いい経験が出来ました」。試合が始まると先輩たちの「楽しめ」という一言で緊張がほぐれ「楽しく投げられた」と振り返る。

「もう1回あそこで投げたいなという気持ちも湧いてきましたし、新チームになってから自信を持って投げられるようになりました」。甲子園は成長できる場所というが、まさにそこで自信をつけ、練習での意識も見違えるほど変化した。

 ブルペンではこれまで単にミット目掛けて投げていたが、常に走者を背負った場面を想定。配球通りにボールが行かない場合はそこにいくまで投げ込んだ。ブルペンで京本と並んで投げると「いいボールを投げようという気持ちはちょっとありますね」と日々刺激を受けて高め合っている。

“大丈夫”。帽子のツバの裏には、不安な自分に言い聞かせるようにこう書かれている。しかし昨夏、聖地で自信をつけた太田にはもうこの言葉は必要ないかもしれない。

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