新庄剛志氏のパフォーマンスは“計算ずく” 「陰で努力」ハム移籍仕掛人が語る真実

ナイターの日に正午に球場入り、特打に励むシーンを何度も目撃

 三澤氏は、新庄氏が陰で努力する姿を目の当たりにして納得したという。「ある日、球団事務所の窓から外を眺めていると、12時頃に赤いフェラーリが球場の駐車場に止まりました。新庄君でした。その日はナイターなので、選手は午後2時頃に集まり練習を開始します。何か用事で早く来たのかなと思っていたら球場に入り、打撃投手に頼み、特打を始めました。バッティングの調子が落ちると、早く球場に来て、特打をやることが再三ありました」。

 体のケアにも人一倍気をつかっていた。「太腿の肉離れがあったので、個人でトレーナーを雇い、キャンプ、遠征にも帯同させていました。札幌ドームで試合を終えると、シャワーを浴びて帰る選手がほとんどでしたが、新庄君と小笠原(道大)君(現日本ハムヘッドコーチ)は、試合が終わるとトレーニングルームに入り、クールダウンをし、体のケアをして帰っていく。選手としての自覚が素晴らしく、陰で努力をしていましたね」と三澤氏は語る。

 新庄氏のプレーやパフォーマンスに魅せられたファンが札幌ドームに足繁く通うようになると、波及効果はチーム全体に及んだ。「東京ドームにいた頃は、入っても1万か2万が最高で、5000人くらいの時もありました。当時の選手たちは自分の成績を上げることしか頭になかったというとちょっと語弊がありますが、ファンを意識しだしたのは、新庄君が来てファンが集まってくれるようになってから。ファンがこんなに喜ぶんだ、自分の一挙手一投足がすべてファンにつながるんだ、と強く感じたんだと思います」と語る。

「北海道移転が決まった時には不安もありましたが、彼の貢献度は非常に大きかったです」と三澤氏はしみじみと語る。今や多くのファンに愛されるチームになった北海道日本ハムファイターズ。その躍進の土台には、新庄氏の野球への情熱と人間力があった。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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