田中将大らと同世代 32歳の宮崎商監督が選手に甲子園で感じてほしかったこと

宮崎商・橋口光朗監督【写真:編集部】
宮崎商・橋口光朗監督【写真:編集部】

1988年世代の甲子園出場監督、宮崎商・橋口光朗監督

 52年ぶりの春の甲子園。宮崎商に注がれた拍手は温かった。敗れはしたが、エース・日高大空投手がプロ注目の193センチ右腕、天理・達孝太投手と同じくらいの好印象を残し、グラウンドを去った。今大会最年少の32歳の青年監督でもある橋口光朗監督は就任2年でチームを甲子園に導いた。県立高校のナインたちに甲子園から持ち帰ってほしいものがあった。【楢崎豊】

 ここまで来て、諦めるのか――。0-7となった8回裏の宮崎商ベンチで指揮官はナインに声をかけた。それが号砲となり、3番・中村碧人内野手の適時三塁打で1点を返した。「走者を出すたびに達くんが上手でしたね」と力の差は感じたが、監督の目に、ナインの意地は見えた。

 組み合わせが決まってから、速球対策はもちろん行った。しかし、橋口監督は「どうやって有名なピッチャーを打つのかではなく、まずやっていかないといけないことは守備。そう生徒たちには伝えました」と勝利に一番近い方法は、守りのミスをしないことと、言い聞かせてきた。

 しかし、ミスから失点した。「守備から粘り強くやろうと話してきたんですが、普通に打ち取った打球を前に落とすこともできずにはじいたり……。守備に課題が出たかなと思います」と自分たちの野球ができなかったことを悔やんだ。

 だが、この負けはマイナスなことばかりではない。大会前、橋口監督は甲子園で戦った後の選手たちの変化を楽しみにしているようだった。

「甲子園に来られたのは、やっぱりこの子たちが頑張ってくれたおかげです。勝とうが、負けようが、野球というものがどういうものなのか、肌で感じてきてほしいんですよね」

 橋口監督は宮崎商で甲子園出場こそないが、東洋大に進み、学生コーチも経験。東都リーグだけでなく、大学選手権でも優勝を経験。東洋大では日本ハム、巨人でプレーした乾真大投手と同期で後輩に鈴木大地内野手(楽天)が在籍するなど、多くのプロ野球選手がいる。全国レベルの野球を体感し、多くのプロ選手を間近で見てきた。

 だから、生徒たちに近畿の名門との対戦で、たくさん学んでほしい。将来、大物になるかもしれない相手右腕・達との対戦も成長につなげてほしい。そんな願いがあった。

野球はボールだけを追えばいいスポーツじゃない

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