鷹・上林誠知はなぜ開幕1軍から漏れたのか? 工藤監督と小久保ヘッドの思惑とは…

レギュラーを争ってきた上林と栗原だが「栗原くんでスタートしてみよう」

 上林か栗原かの二者択一で、首脳陣が導き出した答えは栗原の開幕スタメンだった。「コーチたちみんなの期待もあるし、去年の実績もある。オープン戦で結果は出てないけど、まずは栗原くんをスタートでいきたいと言うことだったので、栗原くんでスタートしてみようとなった」と工藤監督。これにより、上林が開幕スタメンから外れることが決まった。

 ただ、上林はスタメンで起用できなくともチームの戦力になれる選手だ。走力もあり、守備力は12球団でも屈指のものがある。代打や代走、守備固めとして十分に起用できる。だが、工藤監督と小久保ヘッドは、これを良しとせず、上林をあえて2軍で調整させることにした。

 開幕を1軍で迎えたとしても、ベンチスタートになる。指揮官の言葉通り「小さくまとまってほしくない」というのも1つであり、さらには、試合で打席に立つ機会は必然的に少なくなるため打撃の状態も上げにくい。そうであれば、2軍できっちりと試合に出て打撃の調子を整え、主力の不振や怪我人が出て、いざチャンスとなった時に一気に定位置を奪えるだけの状態にしておいてもらおう、という考えなのだろう。

 工藤監督は「(小久保)ヘッドも考えに考えて、熟慮しての決断だと思う。彼の背中を押してあげること、理解してあげることが僕の仕事だと思うので、いいよ、と。本人にも『レギュラーとして出るのと、ベンチで出るのとどっちがいいんだ?』と聞いたら『レギュラーで出たいです』と思いも聞きました」という。小久保ヘッドコーチが熟慮に熟慮を重ねて提案してきたプランであることも明かしていた。

 結果を残してイスを奪い、文句なしのレギュラーになってほしい――。そんな首脳陣からの高い期待があるからこそ、あえての開幕2軍スタート。工藤監督と小久保ヘッドコーチはこのような思惑で、苦渋の決断を下したのだった。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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