12与四死球でもなぜ勝てた? 鷹・今宮の超絶美技が象徴する“王者の一体感”

「チーム一丸となって助け合うことで、強くなったり、一体感が生まれる」

 投手が四死球を連発していては守っている野手のリズムもどうしても悪くなりがち。エラーやミスに繋がることも十分に考えられる。だが、今宮はこう言う。「ピッチャーも四球を出したくて出しているわけではないですし、人間なんでみんな調子がいい、悪いとか、何かおかしいとかがある中でゲームは続いていく。チーム一丸となって助け合うことで、強くなったり、一体感が生まれる」と。

 ソフトバンクにはチームとしての一体感がある。この日のように投手陣が悪い時には、野手がカバーする。打線が打てない時には投手陣が抑えて守る。もちろん、その歯車が噛み合わない時だってあるが、投手と野手がそれぞれをカバーし合おうとする意識が強い。その意識の形として表れたのが、この日の今宮のビッグプレーだった。
  
 6回には二塁打で出塁し、グラシアルの中前適時打で1点目のホームを踏んだ今宮。このプレーも中堅へとフラフラと上がる打球で判断が難しい当たりだったが、瞬時に藤原が取れないと判断して本塁まで生還した。一瞬の判断力が際立つ隠れた好走塁でもあった。

 野手が投手を助け、投手は野手を助ける。与えた四死球は12個。その中でも勝利を拾えたのは、四死球を出しても粘った投手たちの奮闘があり、それをなんとか助けようとする打者たちの思いがあったから。この日の勝利はソフトバンクの強さの一端が見えた試合だった。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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