オリ能見、日ハム鶴岡らパ兼任コーチは名選手揃い 過去に侍J稲葉監督も経験

侍ジャパン稲葉監督も日本ハム現役時代に兼任コーチを経験

○福浦和也(2018年、選手兼任打撃コーチほか)

 ロッテ一筋の福浦氏は、2018年に「選手兼任打撃コーチ」に。そのシーズンも選手として82試合に出場し、2000安打の大台へと到達するなど、「幕張の安打製造機」の健在ぶりを見せつけている。翌年は「2軍打撃コーチ兼選手」となるが、開幕前にシーズン終了後の引退を表明。引退試合では定位置の一塁守備で超美技を見せるなど、「俺たちの福浦」らしくファンを沸かせた。2020年からは2軍ヘッド兼打撃コーチを務め、藤原恭大外野手ら若手野手の育成に力を注いでいる。

○今岡真訪/誠(2012年、選手兼任2軍打撃・守備コーチ)

 球界屈指のクラッチヒッターだった今岡氏は、2010年に阪神からロッテに移籍後、2012年シーズンを「選手兼任打撃・守備コーチ」として過ごした。その年に現役を引退し、解説者を経て、2016年から阪神の2軍打撃兼野手総合コーチに。2017年には登録名を現在の「今岡真訪」に変更した。

 2017年オフ、ロッテ2軍監督に就任、2020年オフに1軍ヘッドコーチとなる。井口資仁監督とは同学年で、1996年のアトランタ五輪でも二遊間を組んだ仲だ。昨季2位と躍進したチームを今度こそリーグ優勝に導くべく、指揮官を支えたいところ。

○稲葉篤紀(2013年、コーチ兼外野手)

 現在侍ジャパンの監督を務める稲葉氏も、コーチ兼任選手の経験がある。日本ハムの選手時代は、勝負強いバッティングと全力プレーで愛され、2008年の北京五輪、2009、2013年のWBCなどで日の丸を背負った。2013年「コーチ兼外野手」となり、選手としても91試合に出場。翌年は選手専任するも44試合出場にとどまり、現役を引退した。

 その後はプロ野球解説者、日本代表チームの打撃コーチを歴任し、2017年に侍ジャパントップチームの新監督に就任。2019年のプレミア12ではチームを世界一に導いたが、2021年夏に予定されている東京五輪ではどのような手腕を見せるか、注目が集まる。

○松井稼頭央(2018年、選手兼テクニカルコーチ)

 言わずと知れたスタープレーヤーである松井氏も、西武で「選手兼テクニカルコーチ」を経験した。その輝かしいキャリアのスタートは西武だったが、2004年から渡米、2011年に楽天に加入する。2013年には主将として球団創設初の日本一に貢献し、年齢を感じさせないプレーを続けた。そして2018年「選手兼テクニカルコーチ」として15年ぶりに西武に復帰し、選手としては1軍で30試合に出場した。その年限りで現役引退し、2019年シーズンからは西武の2軍監督を務めている。

 パ・リーグのコーチ兼任選手を紹介したが、現役時代にコーチ就任を打診されるだけあり、名選手が揃っている印象だ。本来プロ野球選手は、チームを勝利に導くための「相手チームとの戦い」と、自身のポジションを守るための「チーム内の戦い」を同時にこなしている。自身の知識・経験を同ポジションの仲間に与える行為は、つまりはライバルの成長を後押しすることであり、長期的に見ればチームの底上げにつながるかもしれないが、自らの立場を脅かすことにもなるかもしれない。

 選手としてもコーチとしても結果を求められるコーチ兼任選手が抱えるそのジレンマは、専任選手よりさらに深刻なものとなる。しかし、逆に言えばそのような難しい役割を任せるに足るほど、彼らは首脳陣から信頼され、チームメートから慕われているのだろう。もがきながらも広い視野で「目の前の勝利」と「その先」を見据える兼任コーチに、今後も期待したい。

(「パ・リーグインサイト」岩井惇)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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