珍しい「6-5-3」併殺はなぜ起きた? NPBで広まってもいい「守備シフト」の有効性

佐野だけでなくNPBにはゴロが引っ張り傾向となる打者は多数いる

 さて、今回は佐野が特別なシフトを敷かれたわけだが、これはなにも佐野だけに有効なシフトというわけではない。ゴロが引っぱり方向に飛びやすい傾向をもつ打者はNPBに数多くいる。今回は2020年、ゴロが引っぱり方向に飛ぶ割合(※1)が高かった打者をランキング形式で紹介する。

○2020年ゴロが引っぱり方向に飛ぶ割合が高かった打者

L・マーティン(ロッテ)63.9%
柳田悠岐(ソフトバンク)61.6%
山川穂高(西武)61.5%
岡本和真(巨人)61.2%
中田翔(日本ハム)59.5%
S・ロメロ(楽天)57.9%
山田哲人(ヤクルト)56.8%
村上宗隆(ヤクルト)56.3%
T-岡田(オリックス)56.2%
井上晴哉(ロッテ)53.8%

※規定打席到達打者のみ。現在NPBでプレーしていない選手は除く。ロメロは今季はオリックスに在籍

 昨季最もゴロが引っぱり方向に飛ぶ割合が高かったのは、ロッテのレオネス・マーティン。全ゴロのうち63.9%が引っぱり方向に飛んだ。そして逆方向へのゴロはわずか5.2%。佐野と同様にレフト方向へのケアは最低限でいい打者と言えるかもしれない。

 2位以下を見ていくと、スラッガータイプの打者が数多く並ぶ。多くのスラッガーはゴロを打った場合、引っぱり方向に打球が飛ぶ傾向にあるよう。そして、注目したいのは先ほど紹介した佐野は、このランキングにはいないこと。昨季、佐野のゴロが引っぱり方向に飛んだ割合は52.4%。規定打席到達者53人のうち、16番目に多い数字だった。さきほど紹介した打球プロットを見ると、かなり偏った傾向に見えたが、特別なものではないのだ。

(※1)引っぱり方向とはフェアグラウンドを30度ごとに三等分したうちの、引っぱり方向にあたる一方向を指す。

特に左打者を相手にした守備シフトは日本でも広がってもいい?

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