鷹・工藤公康監督の恐るべき眼力 なぜ和田毅の6回での“失速”を予期していたのか?
「投手は一気にエネルギーを使うと、次のイニングで出ない可能性もある。それを考慮していた」
和田は先発としての責任投球回となる5回を3者凡退に仕留めていた。鈴木大を二直、茂木を三邪飛、そして黒川を遊ゴロに打ち取った。このイニングで和田が出力を上げたことを工藤監督は感じ取っていた。
「5回に結構飛ばしていたのでね。本人の中でこの回(5回)だけはというのがあったみたい。投手コーチと話をして準備はさせていました。明らかにグッと入れていましたので。投手は一気にエネルギーを使うと、次のイニングで出ない可能性もある。それを考慮して作っていました」
幸か不幸か、それが当たる形になった。和田は先頭の岡島にソロを被弾。1死から小深田、小郷に連打を浴びた。結果、爪の横の部分が捲れるというアクシデントでの降板となったが、ブルペンではリリーフ陣が準備を進めており、急ピッチで投手が準備する事態にはならなかったという。
現役時代に224勝を挙げた大投手の工藤監督。快投を続けていたベテラン左腕の僅かな“変化”を冷静に感じ取った“眼力”には驚きを抱かざるを得なかった。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)