甲子園で8強、日体大では4番… オリックス右腕の兄はなぜ女子野球の監督に?

「女子ならではの面白さもあり、非常に勉強になります」

 男子のコーチをしていた時、初めて見る女子選手たちの真摯な姿勢に感銘を受けた。「年頃の女の子が野球のために親元を離れて寮に住んでいる。覚悟が違うなというのが第一印象でした。自主練をしている時に教えてくださいとアドバイスを求められたり、会話していく中で、非常に能力のある子たちが頑張ってやっていると分かり、なんとかサポートしたいという思いが芽生えました」と振り返る。

 高校、大学とハイレベルな世界でプレーしてきた漆原監督にとって、女子野球の世界は新鮮だった。ライトゴロが当たり前だったり、2死二塁から単打で得点できないといった女子特有の場面を目の当たりにし、男子とは異なる戦略を練る必要を感じた。

「女子ならではの面白さもあり、非常に勉強になります。男子に取り入れてもいいんじゃないかと思うところもありますし、逆に男子のいいところを女子に何とか生かせないかとも考えています」と語る。女子の監督を務めると同時に、毎日授業で男子野球部員の指導も行っているだけに、日々様々なヒントが頭に浮かんでくるのだろう。

 女子野球の固定概念に捉われず、新たな可能性を追求していく。「歴代の方々が築き上げたものが土台になっていると思うのですが、今度は我々がその土台のもう一歩先に進むことによって、女子野球のレベルも変わってくるのかなと思います。こうやった方が面白いんじゃないかとか、いろんな高校の先生たちと勉強させてもらい、学ばせてもらっています」。謙虚な言葉の裏には研究熱心さがにじみ出る。一流のプロ野球選手を目指す弟に負けじと、一流指導者への道をまっすぐに歩いていく。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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