投手・大谷翔平の“意外な落とし穴” 斎藤隆氏「持ち球は一級品であるがゆえ…」

横浜、ドジャースなどで活躍した斎藤隆氏【写真:小林靖】
横浜、ドジャースなどで活躍した斎藤隆氏【写真:小林靖】

スライドステップで球速158キロ「そんな選手いないと思っていたら、いました」

 今季の投手・大谷は2試合で8回2/3を投げ、許した安打は3本のみで被打率は.103と低い。その一方で12四死球、14奪三振という数字が物語る通り、四球または三振という独り相撲のピッチングに陥りがちだ。

「空振りか三振かというピッチングになると、疲れるし、球数もかさむ。だから、打たせてアウトにできる球があると、組み立てやすくなると思います。例えば、2ボールノーストライクという状況で、1球投げたらボテボテのゴロに打ち取れたり、ヒットにはなるかもしれないけどホームランにはならない球種。打者に『なんだ?』と思わせて、目線を変えさせる球種であれば、本人が投げやすいものでいいと思います。全ての球種が一級品であっても、20日(日本時間21日)のレンジャーズ戦のようなピッチングを見たら、監督やコーチはゴロアウトを取れる球を望むでしょうね」

 大谷翔平という投手には、これまで誰も達し得なかった領域に足を踏み入れる可能性がある。そう信じているからこそ、送るエールでもある。

「クイックのスライドステップで投げて、158キロの球速が出る投手ですよ。そんな選手はいないと思っていたら、いました(笑)。僕なんてワインドアップで足を上げながらウワッと投げて159キロ出た時に『体が壊れるんじゃないか?』と思ったのに、クイックでピヤッと投げて158キロ。やっぱりすごい選手なんですよ。

 去年まで『肩が細いな』と思っていましたが、体が大きくなって、肩にも厚みが増しました。肩がしっかり動いて怪我がなければ、肘にそれほど大きな負担が掛かったり、障害が出たりすることはないと思います。下半身も大きくなりましたよね。今季初先発の試合では、下半身がバチッと止まっていた。ブルペンで真っ直ぐを投げる姿を見ているだけで、ご飯3膳は食べられる。それくらいのピッチャーです」

 斎藤氏は「この先、大谷翔平は彼にしか分からないレベルに行く」と予測する。大谷は26日(同27日)のレンジャーズ戦で、今季3度目の先発マウンドに上がる。投手としての幅を広げる過程で、先輩から送られたヒントは、きっと役に立つはずだ。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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