ダルビッシュやCY賞左腕を次々獲得… 斎藤隆氏が語る“変わり者”パドレスGMの真骨頂

狙ったプロスペクトをトレードで獲得「一番評価されるべきところ」

「1年目オフの補強は、勝っても負けても必ず解体して、翌年からチームの基礎を固めよう、というオーナーとの話し合いがあったようです。結果として、最低レベルだったプロスペクトランキングを1、2年でトップまで持っていった。日本ではあまり伝えられていない部分だとは思いますが、まだメジャーで結果を残していないプロスペクトに狙いを定め、他の選手を動かしながらトレードで獲得するやりくりをする。活躍している人を大金を払って獲得するより、こういうトレードの方が実は難しいところだし、一番評価されるべきところだと思いますね」

 目に掛けながら大事に育てた有望株たちを、このオフにはダルビッシュ、スネル、マスグローブを獲得するためにトレードで放出。「すごく可愛がっていた選手も、勝つためにパッと放出する。選手の商品価値を下げないためにどうしたらいいのか、常にビジネスマンとしての視点で一線を引いているところがありますね」と斎藤氏は話す。

 斎藤氏がパドレスに加わり2年目の2016年オフ、折に触れてプレラーGMから「ダルビッシュをどう思う?」と聞かれたという。「もちろん、いいピッチャーだけど獲れるの?」と聞き返すと、決まってニヤッと笑って姿を消した。それから4年後、ダルビッシュはパドレスの一員となったわけだが、右腕がレンジャーズと契約した当時、国際スカウト部長として獲得に尽力したのがプレラーGM。斎藤氏は「レンジャーズで獲得した時の想いが残っていたんでしょうね」という。

 プレラーGMの下で「本当に勉強になったし、プライスレスな経験を積めた」と斎藤氏。ドジャースOBではあるが、今はどうしてもパドレスの勝利を願う自分がいるという。

「悔しいけれどドジャースはいいチーム。勝ち方を知っています。ただ、タレントが揃ったパドレスも十分、優勝のチャンスがある。ここ2、3年がすごく面白いチームだと思うので、球団史上初のワールドシリーズ優勝に期待したいですね」

 就任8シーズン目で、ついに結果を出すことができるのか。プレラーGMの手腕に注目だ。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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