阪神ドラ1佐藤輝に場外弾を浴びた男の復活 DeNA指揮官「本来の力が戻ってきた」
国吉は1点ビハインドの3回途中から5回まで無安打投球
■DeNA 10ー2 ヤクルト(1日・横浜)
今季のプロ野球で最も衝撃的な本塁打を挙げるなら、阪神のドラフト1位ルーキー・佐藤輝明内野手が4月9日のDeNA戦で放った場外弾もその1つに挙げられるだろう。しかし打たれたDeNA・国吉佑樹投手も転んだままではいない。1日に本拠地・横浜スタジアムで行われたヤクルト戦で復活ののろしを上げた。
今季初先発の中川虎大(こお)投手が中村に逆転の2点適時打を許した3回、なおも2死満塁のピンチで2番手として登場したのが国吉だ。プロ12年目・29歳の右腕は「こおが頑張っていたので、引き継いで勝ちに転がっていけるように、自分のピッチングをしようと心掛けてマウンドに上がりました」と言う。オスナに初球のカットボールを打たせて遊ゴロに仕留め、危機を脱出した。
続く4回は2死を取ったところで雨が強まり38分間の中断に見舞われた。しかし、再開後も好調ぶりは変わらなかった。結局5回まで、2回1/3を4奪三振無安打無失点の好ロングリリーフ。味方打線の6回の再逆転劇、7回の一挙6得点へとつなげた。三浦大輔監督は「(2死満塁で救援した場面は)初球から堂々と勝負球を投げ込んだ。中断後も集中力を切らさずに抑えてくれた」と称えた。
4月9日に同じ横浜スタジアムで行われた阪神戦では2番手で6回から登板。、先頭の佐藤輝にいきなり右中間の場外へ消える推定飛距離140メートルの特大ソロを浴びた。カウント1-1から真ん中に入ったカットボールだった。代わり端の一発のショックがよほど大きかったのか、この回一気に5安打2四球6失点と炎上。翌10日に出場選手登録を抹消された。
ファームでの調整を経て4月25日に1軍昇格し、同27日の広島戦に2番手で登板して2回1/3を3安打1失点。この日が1軍復帰後2度目の登板だった。三浦監督は「全体のバランスが良くなった。ストレートに角度と勢いがある。国吉本来の力が戻ってきた」と目を細めた。
196センチ、106キロの体格に恵まれている。この日のストレートは最速155キロを計測し、150キロを下回ることがほとんどなかった。140キロを超えるカットボールも威力十分。2019年には53試合に登板したタフネスで、この日のようなロングリリーフをこなせるのも強みだ。好調時には手をつけられないが、一方で脆さも併せ持っている。
チームは本拠地でようやく今季2勝目(12敗3分)を挙げた。最下位を潜行し、5位・中日とのゲーム差は1日現在で5.5。ホームで大きく負け越している現状に変わりはないが、国吉はお立ち台で「4月はホームで1勝しかできませんでしたが、5月は多く勝っていけるように、しっかり頑張っていきます」と誓った。今季このまま佐藤輝の引き立て役で終わるわけにはいかない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)