北海道唯一の女子硬式クラブが人口2000人の町に拠点移した訳 目指す“一挙両得”

調印式に臨む喜茂別町・内村町長(左)、とホーネッツ・高橋監督【写真:石川加奈子】
調印式に臨む喜茂別町・内村町長(左)、とホーネッツ・高橋監督【写真:石川加奈子】

喜茂別町長「できるだけ町の企業で働いていだだいて…」

 4月21日に連携協定調印式を行った喜茂別町の内村俊二町長は「野球を続けながら、喜茂別で働いて、生活を長く続けていただけるような環境づくりを進めていきたいと思います」と語った。若い女性の人口減少という問題を抱える喜茂別町では、選手が地元企業に就職することを期待している。

「具体的にはこれからですが、新たに学校を卒業された方が本町のどちらかの企業にお勤めいただくという形で来年度から来ていただけたらなと考えています」と内村町長。介護や福祉関係の施設は慢性的に人手不足で、隣接する留寿都村のリゾートにも働き口がある。「例えばトラックの運転など、町としても何か資格を取る支援などしながら、できるだけ町の企業で働いていただいて、合わせて野球も十分にできる環境をつくっていけたら」とその言葉には熱が入る。

 町では球場の提供だけではなく、冬期間の練習場の整備も視野に入れている。「町民の健康づくりという部分も含めて検討していきたいと考えています」と内村町長は明かす。チームに期待するのは、選手の定住のほか、町のPRや活性化だ。「女性としての視点で町づくりに関わっていただきたいと思っていますし、子どもたちの指導や町民の健康作りに対してお手伝いしていただければ。知名度がないので、野球というキーワードで町を知ってもらうことになればと考えています」と語る。

 2017年に札幌新陽高が女子硬式野球部を創部し、昨春には駒大苫小牧高、札幌国際大と北海道内に次々と学生チームが誕生する中、卒業後の受け皿となりうるホーネッツ・レディースの存在感は高まっている。

 25歳の川村真莉菜主将は「拠点ができるのはうれしいです。北海道にも企業チームができたらと思いますし、その一歩になればいいですね。関東と比べて、遠征費がかかりますが、自己負担なので」と新たな環境と今後に期待を寄せる。人口2000人の町と女子野球のコラボレーションがどんな効果を生み出すのか注目したい。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY