女子指導歴10年の阪急ドラ1右腕 人口約2000人の町にあるクラブGMに「プロを出したい」
ホーネッツ・レディースは今春、北海道・喜茂別町に拠点を移した
男子野球部の指導をイメージしていた石井氏は「その時に初めて女子野球というものがあるんだと知りました」と驚きながらも新天地に飛び込んだ。4年間監督を務めた後、今度は故郷の北海道で初めて女子硬式野球部を創部した札幌新陽高の初代監督になった。
男子高校生の指導は、翌春の創部準備のため札幌新陽高に赴任した17年に1年間コーチとして関わっただけ。夢だった男子野球部の監督にはなれなかったが、女子のひたむきさに触れて、女子野球の普及振興に力を注ごうと決めた。
「女子の方が真面目です。僕の指導は教育としての野球が基本。楽しく、強いチームをつくろうというスタイルをつくったので、部員も辞めずに一生懸命やってくれました」と言う。京都両洋高を全国高校女子硬式野球選抜大会8強、札幌新陽を全国高校女子硬式野球選手権4強に導いた。教え子には、女子プロ野球の人気選手だった高塚南海外野手(阪神タイガースWomen)や日本代表の小島也弥内野手(エイジェック)らがいる。
今春、札幌新陽高を退職し、ホーネッツ・レディースのGMに就任した。札幌と隣接する人口2000人の喜茂別町に拠点を移すチームを支える。「選手の獲得と喜茂別町の地域活性化がメーンになります」と人材不足に悩む地元企業と野球を継続できる仕事先を求める選手のマッチングに取り組む。「女子プロ野球もいずれ再編されると思います。新たなプロ野球ができた時に、喜茂別町からプロを出したいですね」と笑顔で語った石井氏。念願の指導者に転身してから10年が経ち、今また新たな夢に向かって走り出している。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)