なぜ日ハム加藤貴之は安定し始めたのか ショートスターターから先発で起きた変化

ショートスターターでの起用でキャリアに大きな変化が…

 2018年も開幕からの13試合で先発で起用されたが、安定感を欠いたことで8月以降は中継ぎへ配置転換。そして、この2018年前後にメジャーリーグで確立された「オープナー」という概念が、2019年の加藤のキャリアに大きな変化をもたらすことになる。栗山監督はこの先進的な起用法を「ショートスターター」として積極的に導入。元々先発と中継ぎの双方の経験があり、左腕という特色も持つ加藤がこの役割を頻繁に任されるようになる。

 加藤の2019年初登板は4月2日の楽天戦。先発としてマウンドに上がったが、3回を無失点と好投すると当初のプラン通りに降板。その後も同様の起用法は続き、シーズンを通じて21試合に先発登板しながら、6回以上を投げた試合は5月31日の1試合のみだった。一方で防御率や投球内容は前年から大きく改善され、様々な意味で新境地を開拓する1年となった。

 2020年も序盤はショートスターターとしての起用が続き、夏場以降は中継ぎとしての登板が大半に。先発登板7試合はキャリア最少で、チーム内でのショートスターターの回数の減少が、そのまま加藤の起用法にも反映されていた。

 そして今季、加藤は先発として開幕1軍入り。今季初登板となった3月27日の楽天戦で5回2失点と粘投して今季初勝利をマークすると、4月4日のロッテ戦、4月11日のオリックス戦と2試合連続でプロ入り最長の8回1失点の投球を披露。ここまで抜群の安定感を発揮している。

 加藤の特徴の一つとして制球力に優れる点が挙げられる。直近4シーズンのうち、与四球率2.20台以下を3度記録している。また、通算奪三振率は6.91と際立って高くはないが、奪三振を四球で割って求める「K/BB」は、2021年はキャリアで2番目に高い数字となっている。今季は与四球率もキャリア最高のペースであり、例年以上に余計な走者を溜めるケースが少ないことがわかる。

四球が少なく制球力に優れる投球スタイル

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