身長7cm“詐称”、数万円のドリンク飲んだ過去… 元小兵野手がNPB入りできた訳
「今年ダメだったら野球を辞める」実家に置き手紙した年に育成指名
毎年、NPBの複数球団から話はあったが「もう少し身長があったらな」と言われ、指名がないまま4年が過ぎた。5年目のシーズンが始まる前の2012年2月、長崎の実家から香川に向かう時に「今年ダメだったら野球を辞める」と置き手紙をして家を出た。最後の1年と決めたシーズンでレギュラーに定着、最多盗塁のタイトルも獲得し、その年のドラフトで西武から育成1巡目で指名を受けた。
「その年もいくつか話はいただいていたので、ドラフトでなかなか名前が呼ばれなかったときは『またか……』と思いました。『もうないな』と諦めていたら、西武が育成で指名してくれて驚きました」
イースタン・リーグで実績を積み重ね、3年目の2015年7月に支配下登録を勝ち取った。2016年には開幕1軍を掴み、2017年には56試合に出場し14安打を放ったが、2018年、2019年は2年連続で無安打に終わり、2020年に戦力外通告を受けた。163センチの小兵は、通算113試合に出場し、現役生活に幕を下ろした。
「身長のことを言われるのは悔しかったし、小さいからたくさん練習しました。もっと身長があったら、こんなに練習していない。逆に身長が高かったら、NPBでプレーすることはできなかったと思います」
水口さんは今年から、ライオンズアカデミーのコーチに就任した。辛いことも多かったが、楽しいから続けられた野球。その楽しさを、子どもたちに教える第2の人生をスタートさせたばかりだ。
(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)