手作りのライブ配信が「本格的で驚いた」 “首都の熱戦”伝えた学生たちの奮闘

日体大・配信班の大塚輝さん【写真:川村虎大】
日体大・配信班の大塚輝さん【写真:川村虎大】

課題は後継者「今後続かないのは僕としても辛い」

 さまざまな会場で行われるのも、首都大学野球の魅力のひとつ。ただ、映像配信班にとっては更なる負担を強いられた。

「場所によって特徴が違うので、下見と準備が大変でした。どこから電源を引くとか、見え方とか。各球場ごとに確認しなければならないので」

 試合中に問題が発生したケースも。三塁カメラ席がベンチと近い等々力球場。本塁を映していると、ベンチから出た選手と被ってしまう事もあったため、バックネット裏のカメラに瞬時に切り替えるなど臨機応変に対応した。

 現在、映像配信班は日体大と筑波大で担当。学生コーチに手伝ってもらいながら運営をしているが、正式メンバーは2人のみ。まずは継続させる事を最優先に考える。

「後継者を作ることが1番の課題。今後続かないのは僕としても辛いです」。そのため、後輩の指導や機材の使い方、球場ごとのノウハウなども資料化。自分がいなくてもできるような環境づくりも欠かさない。分析班のチーフを兼任しているため、平日は毎日のように学校が閉まる時間まで作業を続けた。

「学校関係者や保護者から『本格的で驚いた』とか『見れて良かった』とか言ってもらえたのが嬉しいですね。この配信を見てファンになる人が出て来れば、頑張っている選手らも報われると思います」

 さまざまなドラマが生まれた今春の「首都劇場」。演者はもちろん選手だが、その裏には“劇場支配人”の活躍があった。新たな伝統を作り、次の世代へと継承していく。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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