天国と地獄を見た男の“逆襲劇” DeNA伊藤光、指揮官も信頼する「2番・捕手」の役割

昨季はラミレス前監督から「我々が練った戦力と違う」

 伊藤光は2018年、シーズン途中のトレードでオリックスから移籍。翌19年に国内FA権を取得し、同年オフには4年の大型契約を結んで残留した。ところが、昨季の1軍出場はわずか30試合。ラミレス前監督から「われわれが練った戦略と違う方向へ向かっていた」とリードを批判されたこともあった。

 今季もケガなどで出遅れ、1軍初昇格は5月18日にずれ込んだが、同25日の交流戦開幕を機に「2番・捕手」に定着すると、打線が効果的につながり始めた。6月3日のソフトバンク戦では、ファウルチップを左手首に受けて打撲し、翌4日のロッテ戦を欠場。それでも三浦監督は「2番・捕手」のスポットに控え捕手の嶺井を当てはめた以外、オーダーに手をつけなかった。「他のバッターの状態も良いので、動かしたくなかった」と明かし、一夜明けた6日には伊藤光が復帰した。

 オリックス時代の2013年10月8日・楽天戦でも、1度だけ2番を務めたことがあるが、嶺井は全くの初体験だった。この点からも、伊藤光ありきの打順であることがうかがえる。一方、捕手はもともと負傷のリスクが高いポジションで、伊藤光自身も32歳のベテランだけに不安も付きまとう。

 今季は配球面でも、三浦監督から「相手打者の反応を見ながら、うまくリードしてくれている」とお墨付きを得ている伊藤光。交流戦終了後もペナントレースは続くが、その存在がDeNAの生命線となりそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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