一般就職も考えた 大阪桐蔭選抜Vの4番が苦悩の末に掴んだ大学全国切符

3月初旬に右太もも痛め、復帰戦では4打数ノーヒット

 3月初旬にも右太もも裏を肉離れ。1か月ほど、野球ができなかった。気持ちが沈む時もあった。復帰戦となったENEOSとのオープン戦では、4打数無安打。だが、ある心の変化があったという。

「なんで、打てなかったんだろう……。悔しいなと思っている自分がいました。そこで、やっぱり、野球が好きなんだということに気づきました」。打てなかった悔しさを感じ、苦しんでも、楽しいと思える野球がそこにあった。

 自分にはやっぱり野球だ。怪我が癒えた山本は、身につけた右方向への意識を持って、本塁打を量産。象徴的な本塁打があった。4月5日の亜大との春季リーグ開幕戦で、逆方向に第1号3ラン。この1本で山本は一気に波に乗った。本塁打、打点はリーグ2冠。「出来過ぎた部分もありましたけど、チームに貢献できてよかったです」と胸をなで下ろした。

 終わってみれば、3冠王まであと一歩の活躍。社会人野球の強豪からの声もかかった。もしかしたら、プロへの扉も開くかもしれない。だが、それは胸にしまい、次の目標へと向かう。ただ、野球を続ける気持ちは沸いてきた。

 全日本大学野球選手権は7日から神宮球場、東京ドームで行われる。「リーグ戦とやることは変わらないです。同じ気持ちで打点を上げていきたいです」。甲子園優勝に導いた男が、次は神宮の舞台で結果を残す。

 野球をやめる決断は、まだもう少し先に……。いや、ずっとずっと先であってほしい。そう思わせる選手になってもらいたい。

【表】根尾、藤原ら2年生にプロ4人、2017年選抜V大阪桐蔭メンバーの今

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