セ最下位だけど交流戦は首位タイ 「セオリー徹底」で上昇気流に乗せたDeNA三浦采配
“鉄板”の勝利の方程式、エスコバーは1軍合流後チーム試合数の約6割に登板
実際、DeNA打線は現在の打順になってから、それまで塁上は賑わせながら「あと1本」が出ず苦しんでいたことが嘘のように、得点力を発揮している。アキレス腱は控えの選手層が薄く、32歳の伊藤光や33歳の大和らベテランにも替えがきかないことだろう。
この日は、1回に先制11号ソロを放った4番のタイラー・オースティン外野手が、4回の第2打席でファウルを打った際、腰に手を当てて痛みに顔を歪め動けなくなる一幕があった。結局は大事に至らず出場を続けたが、首脳陣は肝を冷やしたのではないか。
投手陣もしかりで、同点やリードした状況で終盤を迎えれば、三浦監督は“鉄板”で7回にエドウィン・エスコバー投手、8回に山崎康晃投手、9回に三嶋一輝投手を投入する。勢い、勝利の方程式の3人と、先発が早い回に崩れた場合や僅差のビハインドゲームなどあらゆる状況で登板する砂田毅樹投手、石田健大投手は登板過多気味である。
特に、コロナ禍で来日が遅れたエスコバーは、4月20日の1軍登録以降のチーム38試合中、約6割(57.9%)の22試合に登板しており、負担が大きい。3日のソフトバンク戦で松田に3ラン、5日のロッテ戦でも加藤に2ランと2試合続けて被弾したが、三浦監督は「疲れていないことはないだろうが、経験のある投手なので調整してほしい。(勝ちパターンの)展開になれば、頑張ってもらうしかない」と、起用法を変えるつもりはない。
6日の同カードでは、エスコバーは7回を無事3人で片づけた。ところが、チーム最多でリーグ2番目の29試合目の登板となった山崎が、2点リードの8回に3連続二塁打を浴び同点に追いつかれた。
試行錯誤しながら、機能的な打順と勝利の方程式リレーを確立し、チームを上昇気流に乗せた三浦監督。ただ、本当に手腕を問われるのは、それが崩壊の危機に瀕した時なのかもしれない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)